2016年に入り、日本マクドナルド(以下、マクドナルド)の業績に回復の兆しがみられる。2015年12月期に過去最大の347億円の最終赤字を計上して、2期連続の最終赤字となった同社は、2月に連結最終損益が黒字に転換する見通しを発表した。それを裏付けるかのように、2015年12月から4ヶ月連続で既存店売上高が前年同月比を上回り、ここ3ヶ月は客数、単価ともにプラスを記録している 。
しかし、プラスに転じた4ヶ月は前年が2~3割のマイナス幅であったため、その反動を考慮する必要がある。実質的には、2014年7月の「使用期限切れ鶏肉問題」が発覚する前の水準までには回復していないと推測されている。さらに、1月には米マクドナルドが日本法人の株式売却の検討を表明している。単独での再建に向けて厳しい状況に変わりはない。
業界最大手のマクドナルドの長期低迷で、ファストフード業界も長らく低迷が続いたが、2015年下期から回復基調に転じている。要因はふたつある。
ひとつは、国内のハンバーガーチェーンによるマクドナルド客の取り込みである。モスバーガーは、マクドナルドの不祥事を受け、いち早く「生野菜の国産化」を打ち出した。さらに、「健康志向」と「安全」を売りに、2015年5月には全商品の約9割の商品を値上げしたが、既存店売上高は前年比プラスを続けている。またフレッシュネスバーガーやロッテリアは素材にこだわった高単価のハンバーガーを展開している。
もうひとつは、米国の「本格ハンバーガー」の参入である。2015年7月には「ベアバーガー」、11月には「シェイク・シャック」、2016年3月には「カールスジュニア」が、相次いで日本第1号店を出店した。ベアバーガーの1号店は自由が丘、シェイク・シャックの1号店は神宮外苑(2号店は恵比寿)、カールスジュニアの1号店は秋葉原と、都内でも集客力の高い好立地への出店を果たしている。その価格は、単品500円以上で、1,000円を超える商品が多くラインナップされる高価格設定となっている。
参照コンテンツ
- 企業活動分析 日本マクドナルドホールディングス
- 企業活動分析 モスフードサービス
- 戦略ケース シェイクシャックは日本で第二のスタバになれるのか(2016年)
- 戦略ケース 崖っぷちのマクドナルド-自ら仕掛けた低価格戦略のツケと相次ぐ失策により赤字転落へ(2014年)
- 企画に使えるデータ・事実 ファーストフード売上高
業界の業績と戦略を比較分析する
おすすめ新着記事
消費者調査データ サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも
調査結果を見ると、「Amazon プライムビデオ」が全項目で首位となった。「プライムビデオ」は認知率で認知率は8割強、利用経験では唯一4割強、今後の利用意向でも3割を超えている。
成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク
コロナ下では長期休業や入場制限などを強いられ、壊滅的ともいえる打撃を被ったテーマパーク市場、しかし、コロナが5類移行となった2023年には、売上高は8,000億円の大台を突破、過去最高を記録した。
消費者調査データ シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い
調査結果を見ると、「ラックス(ユニリーバ)」と「パンテーン(P&G)」が複数の項目で僅差で首位を競り合う結果となった。コロナ禍以降のセルフケアに対する意識の高まりもあって、シャンプー市場では多様化、高付加価値化が進んでいる。ボタニカルやオーガニック、ハニーやアミノ酸などをキーワードに多様なブランドが競うシャンプー市場の今後が注目される。