全国で、人の住んでいない空き家が増えている。総務省の調査によると、全国の空き家は2013年時点で820万戸、国内総住宅数の13.5%に達する。人口減少、都市部への人口移動、相続問題の複雑化などから、その数は今後も増加すると予想されており、2040年には空き家率が40%超になるという試算もある。この問題の解消に向け、政府は様々な施策を打ち出す一方で、民間企業は空き家の増加をチャンスととらえ、売買や管理、民泊サービスなどを展開し、ビジネスの拡大を狙っている。
空き家が増える背景には、いくつかの要因がある。
(1)人口減少の一方、止まらない新規物件供給
そもそも2005年以降、日本国内の人口が減少しているということがある。必要となる家は減ってきたが、新築物件の供給は変わらず続けられてきた。
さらに、都心への移住・住みかえの動きも空き家増加を後押ししている。昨年の弊社調査でも都心への移住を考える人が郊外と地方には多く、今後増える可能性がある。
(2)空き家を放置した方が得な固定資産税制
もうひとつ大きな要因として挙げられるのは、固定資産税の問題だ。日本では、家屋が立っている場合、空き家でも住宅用地特例が適用され、固定資産額が更地の6分の1となっていた。しかし、解体すると特例適用がなくなり、税額が6倍に上がるという問題がある。
(3)処分について多数の関係者の合意が必要
また、処分するという意思決定が、なかなかできないケースが多いことも挙げられる。
老人ホームで介護を受けているなど世帯主が存命中は手が付けられないし、世帯主が亡くなった場合でも共同相続して権利関係が複雑になったりする。処分の合意が取れず、放置されたまま、といったケースも多い。
参照コンテンツ
住宅メーカーの業績を比較分析する
- 戦略200+ 比較分析ツール オススメ!