半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2017年09月27日


加熱する睡眠ビジネス
睡眠の"質的"競争
戦略研究チーム

本コンテンツの全文は、有料会員サービスでの公開となっております。
ご利用には有料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
会員のご登録はこちらをご覧ください。

 「十分寝たつもりなのに、まだ眠い」「なんだか疲れがとれない」。忙しい現代人にとって、満足できる睡眠をとることは重要だ。しかし、睡眠時間は減少傾向にある。そんな中で、消費者の関心が、睡眠の"質"に向いてきている。

 労働時間や健康状態など従来の問題に加えて、寝る前のスマートフォン使用などで、人々の睡眠を取り巻く環境はさらに悪化している。確保できない睡眠時間を解決するために、注目されるのが睡眠の質を高めることだ。一方、睡眠に関連した商品やサービスを売り出す企業間の競争は加熱している。一大市場になりつつある「睡眠ビジネス」のマーケティング勝機を見出す。


広がる睡眠問題と「睡眠の質」重視

 厚生労働省の「国民健康・栄養調査」各年によると、2007年に6.73時間だった平均睡眠時間は、直近2015年調査では6.43時間と、0.3時間減少している。また、6時間未満の短時間睡眠が増加傾向にある(図表1)。


図表1.睡眠時間の推移


 さらに睡眠の質の観点から見ると、「睡眠で充分に休養がとれていない人の割合」は直近2014年で21.7%にのぼる。中でも、20~50代の労働力年齢において睡眠の質が低いことがうかがえる。また2009年調査との比較では、特に40~50代で睡眠の質が低下していることがわかる(図表2)。


図表2.睡眠で休養が充分とれていない人の割合


 クロス・マーケティングによる同様の調査でも、およそ7割の回答者は自身の睡眠に満足しておらず、その理由として6割の人が「睡眠の質が悪い」を挙げている。


多様な業種から参入が相次ぐ睡眠市場

 こういった現代人の悩みを解決すべく、さまざまな企業が商品・サービスの提供に乗り出している。睡眠市場に直結する寝具メーカーの業績を見てみると、西川産業の売上高は2012年の78億円から2017年には94億円にまで伸びている。また近年成長著しいエアウィーブは2009年には売上高1億円に過ぎなかったが、2014年には113億円にまで伸長している(エアウィーブについては、当社戦略ケース「睡眠を支えるマットレス競争」参照)。

 寝具メーカーは好調であるが、「睡眠」として市場を捉えると、プレーヤーは更に広がる。例えばパナソニックは「睡眠家電」というカテゴリーを打ち出している。商品ラインとしては、携帯アプリと連動させて起床時に明るさをコントロールできるシーリングライトや、睡眠時に好みの室温に調整できるエアコン、布団掃除機といった商品が並んでいる。また、スポーツ用品メーカーのアンダーアーマーでは「リカバリースリープウェア」という商品を出しており、バイオセラミックテクノロジーという特殊な技術でつくられたシャツによって、よりよい眠りを提供するとしている。

 このほかにも、アロマオイルやアイマスク、枕、マットレスなど睡眠に関連する商品は数多く登場しており、まさに睡眠市場は拡大期にあると考えられる。


 「国民健康・栄養調査」によれば、睡眠の質確保のために最も必要なこととして、「健康状態の改善」(20.4%)、「就労時間の短縮」(15.2%)など従来的な課題の他に、「睡眠環境を整える」(11.0%)、「就寝前に携帯電話、スマホ、ゲームに熱中しない」(10.4%)などが挙がっている。このことからも、消費者が就寝時の環境改善を期待していることがうかがえる。


顧客×ニーズで深化する睡眠の質的競争。マーケティング機会はどこにあるか?
【続きを読む】(有料会員向け)


参照コンテンツ


業界の業績と戦略を比較分析する


おすすめ新着記事

お知らせ

2024.12.19

JMR生活総合研究所 年末年始の営業のお知らせ

新着記事

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「広告売上高」は、6ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「旅行業者取扱高」は19年比で83%に

2024.12.18

提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア

2024.12.18

24年11月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.12.18

24年11月の「景気の現状判断」は9ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.12.17

24年10月の「現金給与総額」は34ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.12.16

企業活動分析 SGHDの24年3月期はロジスティクス事業不振で2期連続の減収減益

2024.12.16

企業活動分析 ヤマトHDの24年3月期はコスト削減追いつかず3期連続減益

2024.12.13

成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク(2024年)

2024.12.12

24年10月の「家計収入」は再びプラスに

2024.12.12

24年10月の「消費支出」は6ヶ月連続のマイナスに

2024.12.11

提言論文 価値スタイルによる生活の再編と収斂

2024.12.10

24年10月は「有効求人倍率」は改善、「完全失業率」は悪化

2024.12.09

企業活動分析 江崎グリコ株式会社 23年12月期は国内外での売上増などで増収増益達成

2024.12.09

企業活動分析 日清食品ホールディングス株式会社 24年3月期は価格改定浸透で増収、過去最高益達成

 

2024.12.06

消費者調査 2024年 印象に残ったもの 「大谷選手」「50-50」、選挙も五輪も超えてホームラン!

2024.12.05

24年11月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

2位 2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

3位 2024.12.04

提言論文 本格消費回復への転換-価値集団の影響力拡大

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area