ビールサーバーの導入やメンテナンスコストなどの理由から、飲食店がクラフトビールを提供するハードルは低くない。しかし、新しいメニューを提供して利用客の単価アップにつなげたいという思いは強い。そんなジレンマを抱える飲食店に、キリンの飲食店用クラフトビールプラットフォーム「Tap Marché(タップ・マルシェ)」が支持されている。
タップ・マルシェは、飲食店向けの小型ビールディスペンサーだ。「Marché(市場)」のように、気軽に多様なビールを楽しむことができる「ビールの自由市」をイメージしている。卓上に置けるサイズで、4種類もしくは2種類のクラフトビールが樽生で提供できる。
2016年にテスト展開を開始。2017年には一都三県に拡大し、2018年に全国展開を始めた。導入店舗は2018年末時点で7,000店舗を超え、同社は2019年に13,000店を拡大目標に掲げるなど順調に普及している。
外食産業からのクラフトビール需要は大きい。その背景には、各店舗の売上や利用客の減少がある。日本フードサービス協会によると、外食の中でも「パブレストラン/居酒屋」の売上はここ数年間、対前年割れを続け、利用客数も減少している。これをカバーするために、単価アップを狙ったメニューの差別化・付加価値化競争が続いている。
こうした外食産業のニーズに対して、手軽にクラフトビールを提供できる「タップ・マルシェ」がうまく響いている。数店舗で導入した居酒屋チェーン「塚田農場」でも、クラフトビールと九州料理の組み合わせが人気となり、単価アップに繋がったという。
参照コンテンツ
- 戦略ケース 地道にファンを増やし続けるキリン「本搾り」のブランド育成(2021年)
- 戦略ケース クラフトビールはさらなる成長エンジンを見つけられるのか(2017年)
- 戦略ケース 木内酒造:常陸野ブルーイング
クラフトビールのパイオニアはローカルからグローバルへ(2018年) - 企画に使えるデータ・事実 成長市場を探せ クラフトビール(2019年版)
- 消費者調査データ ビール系飲料(2019年6月版)
じわり差をつめられるスーパードライ、健闘する本麒麟 - マーケティング用語集 ネットワーク外部性
- 企業活動分析 キリンホールディングス
- MNEXT 眼のつけどころ 高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?-MSP事業創出作法(2018年)
業界の業績と戦略を比較分析する
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