2023年の全国百貨店の年間売上高は、ほぼコロナ前の水準まで回復した。百貨店はコロナによる被害が大きかったが、23年の年間売上高は3年連続伸長し、前年比9.2%増の5兆4,211億円、19年比では3.0%減まで回復した(日本百貨店協会より)。
主要百貨店の総額売上高は各社が好調。J.フロントリテイリングは、24年2月期前年比115%。高島屋は、24年2月期前年比108%だった。三越伊勢丹HDは24年3月期 前年比113%、営業利益、経常利益において統合後最高益を更新した。
百貨店各社は現在、富裕層獲得に向けた取り組みを強化している。富裕層は、純金融資産保有額1億円以上の世帯で保有総額が年々増加している。
伊勢丹新宿本店の顧客構造をみると、21年度の購買額シェアの過半数が上位顧客5%によるものである。さらに49歳以下の顧客の外商購買額シェアは20年度から5%増の約29%となっている。
他方、J.フロントリテイリングは富裕層を中心とする外商顧客を32万人抱えている。そのうち若年層(20代~40代)のシェアは約30%であり若返りが進んでいる。
三越伊勢丹の好調要因をマーケティング戦略の観点から明らかにしていく。