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公開日:2002年03月19日

営業現場の科学
第5回 取引先を味方につける「顧客フィット営業」
営業戦略チーム

 量販店が消費不振により苦戦を続けている。日本の大手量販店5社の売上は7兆円を超える規模を持つが、その20%以上が設備過剰状態に陥っている。端的な指標として小売業の設備投資の生産性を示す1坪当たりの売上高を確認してみるとこのことが明らかである。小売業の各業種についても20%以上の過剰設備があると予測することができる。この過剰な状態を実需に合わせるための改革に小売業は取り組んでいる。一時は成功企業とされたイトーヨーカ堂も商品粗利率アップを図ることにより、売上減少でも利益確保するという政策の壁に突き当たっている。このような取引先にどのように対応すればよいのだろうか。


図表.GMS上位5社の1坪あたりの売上げ高


 今回提案したいのはつぎの三つのアクションを通じた「顧客フィット営業」である。価格・条件・ご用聞きによるフィットではなく、苦況の時代を共に乗り越えるパートナーとして取引先を味方につけるフィットを目指さなくてはならない。


(1)取引先の問題理解を深める

 例えば消費財メーカーの営業では三つの次元の理解を通じて量販店バイヤーの問題を理解する必要がある。ひとつは生活理解。生活者の価値観、暮らし方、季節や地域による特性の理解が基本である。ふたつ目は売場理解。担当バイヤーの商品、価格、店頭づくりの考え方、競合企業との関係や中期的に目指す方向等のビジョンも含めた理解をするようにする。三つ目は商品理解。バイヤーの扱う商品部門の各商品の素材や原料、製法、スペック、価格、コンセプトなどを自社・他社商品を含めて捉え直してみる。まずあなた自身がこの三項目についての検討を行い、その結果を持ってバイヤーと情報交換することにより、相手の抱える問題をより深く理解することである。相手の抱える問題はイコール我々の提案の切り口である。第一歩は「生活理解」。メーカーと流通が共通の立場で議論できるのは「生活」である。


(2)取引先の意思決定を支援する

 あなたにとって有利な意思決定をバイヤーに行ってもらうには、あなたの提案がバイヤーの問題解決に確実につながることを示さなくてはならない。この鍵は事例による説得である。あなたの属する営業所や他の営業所での成功例、他の商品での成功例、他の量販店での取組事例を集め、各々の成功要因と推進ポイントを的確に案内することである。勝算が見える、取り組む価値がある、バイヤーの目指すビジョンを具体化したプランである、自社の強みを増やすことができるという説得が相手の意思決定を支援する。


(3)取引先を味方につける

 さて、あなたの提案が通りプランが進行した。問題は成果である。当然ながら結果数値は計画比に対してプラスかマイナスか計画通りかの三つしかない。ここで注意すべきはどのような結果であってもその要因を探索し、次回につなげる提案に活用するということである。お互いに同意して取り組んだ共同作戦である。期待成果が出なかったからそれまでという尻切れにしてはいけない。逆に、計画比以上の達成時も高業績を手放しで喜んで終わりにしてもいけない。要因分析とそれに基づく次回取り組み時の配慮ポイントを提示する。このことを通じて取引先にパートナーである意識を醸成させていくことが肝要である。あなたは取引先に何人の味方を持っているだろうか。



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