半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2002年07月12日

営業現場の科学
第13回 わかりやすい指数を使った需要創造型営業
営業戦略チーム 舩木

 今回はエリアマーケティングの視点を取り入れながら、新しい需要創造型営業のすすめ方を提案したい。

 エリアマーケティングの基本は、シェア競争をするのか、新習慣を提案するのかに大別される。当該エリアにおける自社の実績が、シェア水準の格差にもとづくものなのか、普及水準にもとづくものなのかで対策が大きく異なってくるからである。シェア水準が要因であれば、これはもう競争で勝つしかない。競争相手を特定化し、泥臭いこともやりながらシェアを奪うしかない。今回、着目したいのはもうひとつの要因、普及水準の考え方を取り入れた提案営業である。




 普及水準が問題である場合は、競争よりもお客さまへの啓蒙や提案が重要となる。家電エレクトロニクス製品を例にとってみよう(図表1)。パソコンや大型テレビ、BSチューナーは普及率は60%に満たない。とくに、普及率の低い地域では徹底した啓蒙が必要になる。また、ビデオディスクプレーヤーやデータはないが5.1チャンネルのシアターシステムなど普及率が低い商品では、安さを売りにするよりも徹底した啓蒙が必要である。もっとも効果的な啓蒙方法は、体験である。POPなどで訴求するよりもずっと効果的である。「百聞は一見に如かず」のとおり、体で覚えていただくことが大事だ。事実、低普及率の商品をよく売っている店はこの手法を必ずといっていいほど実施している。

 逆に、ある程度の普及率に達した場合、シェア競争をすればよいかというとそれだけではない。ターゲットの切り口を変えることで新たな可能性が見いだせる。パソコンの場合であれば、前年割れが続いているなかで、「中学校入学前の子供がいる世帯」に重点化し成功しているところもある。

 普及率という考え方は耐久消費財だけでなく、食品などの非耐久財でも視点を変えれば活用可能である。提案したいのは「指数」という考え方を用いた提案をすることである。

 食品の事例で地域別に指数化を試みた(図表2)。この数字は、家計調査をもとに内食費に占める支出費目別の割合を指数として整理したものである。食品メーカーやスーパーの方には、この指数を使って、つぎのような提案を試みてはどうだろうか?お客さまは夕食のメニューに悩んでいると同時に健康にも気を使っている。この場合、ヘルシー指数、ビタミン指数、カルシウム指数を使いながら、自社商品と必要な関連商品(野菜や果物など)を組み合わせたメニューと、健康的な食生活を啓蒙するような情報(POP)をつけて売り場で展開する。提供する情報には指数を必ず入れる。数字があることで、お客さまは客観的に納得できるわけである。とくに全国平均と比較して指数の低い地域で展開すると効果的であると思われる。指数の高い地域は「もっと健康的に」という訴求が必要となろう。




 あるいはミールソリューション指数(もしくは逆数をとり「手作り指数」)を使って、手作り風の食卓を働く主婦に向けて提案したり、逆に手作りの重要性を訴求したりすることができるのではないだろうか?

 お客さまは、抽象的な文字情報よりも数字情報の方が客観的で納得するし、わかりやすい、ということが言いたかったことである。そうすることによって需要創造型の提案営業が可能となる。一度、試してみてほしい。



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

お知らせ

2024.12.19

JMR生活総合研究所 年末年始の営業のお知らせ

新着記事

2024.12.27

24年11月の「ファーストフード売上高」は45ヶ月連続のプラスに

2024.12.27

24年11月の「ファミリーレストラン売上高」は33ヶ月連続プラス

2024.12.27

消費からみた景気指標 24年10月は4項目が改善

2024.12.26

提言論文 消費者が示すサービスブランドの価値実現率-価値伝達なしの生存はない

2024.12.25

24年11月の「全国百貨店売上高」はふたたびプラスに インバウンドや冬物衣料が好調

2024.12.25

24年11月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月ぶりのプラスに

2024.12.24

24年11月の「コンビニエンスストア売上高」は12ヶ月連続のプラスに

2024.12.23

MNEXT 価値と欲望の充当関係とは何か-市民社会の基本原理

2024.12.23

企業活動分析 BYDの23年12月期はEV・PHV好調で大幅な増収増益を達成

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「広告売上高」は、6ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「旅行業者取扱高」は19年比で83%に

2024.12.18

提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア

2024.12.18

24年11月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.12.18

24年11月の「景気の現状判断」は9ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.12.17

24年10月の「現金給与総額」は34ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

週間アクセスランキング

1位 2024.12.18

提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア

2位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

3位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.12.16

企業活動分析 SGHDの24年3月期はロジスティクス事業不振で2期連続の減収減益

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area