半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2002年07月26日

営業現場の科学
第14回 営業の限界効用逓減を越えるポイント
営業戦略チーム

 商品やサービスの効用は消費量の増大によって減少するケースがある。いわゆる限界効用逓減の法則といわれるものである。例えば、仕事が終わった後に飲む1杯目のビールはとにかく美味いものだ。この時に得られる美味さという満足感が効用である。しかし、2杯目、3杯目と続けて飲んでいくと、効用は違ってくる。そのうち、ビールから日本酒に変えるなど飲む酒を変えることはよくあることだ。

 仮に一杯目のビールの効用が4、2杯目は7、3杯目は9、4杯目、5杯目では10という効用レベルだったとする。飲む杯数を増やしていった場合の効用の総計は図表1のようになる。ここで、効用の増加分を取り出してみると図表2のように示すことができる。効用の増加分を限界効用といい、ビールを一杯追加した場合、この限界効用が次第に減少していくことを限界効用逓減の法則という。







 あなたの営業活動でも、得意先との商談回数が増えるにつれ、得意先からみてその効用が逓減していることはないだろうか。得意先側からかかる電話の回数が減少している、面談あたりの時間が短くなってきている、得意先が抱えている課題について具体的な話をしてくれなくなった、といった変化はないだろうか。こうした場合、受注実績も横這いから減少へ向かう危険がある。一般的なビジネスでは 取引先は毎年平均15~20%が脱落していくとされる。脱落の原因として、自分自身の営業活動の限界効用逓減を疑ってみよう。脱落を5%低減できれば利益は上昇する。

 営業活動の限界効用逓減を乗り越えるのは、あなたがセールスする商品・サービスを通じ、得意先の課題解決ができるという提案営業の王道をいくことだ。効用逓減していくということは、提案内容が得意先の課題解決にミートしていないこと意味している。こういう場合は、一度基本に戻ることをお勧めする。例えば、食品メーカーでは、その主要チャネルである食品スーパー等への「生活歳事提案」が常套句になっている。しかし、この生活歳事提案は食品スーパーのバイヤーから見ると、非日常性の買い物を来店客に提案することを意味している。提案営業において新規性ばかりを狙って生活歳事提案に終始しすぎてはいけない。再度、日常性の買い物を提案することである。この時期の旬の魚や野菜、そのエリアで対前週比で伸長してきている商材に目を付ける。ごく当たり前の日常性の中で無理なく売れるものが確実にボリューム(売り上げ)を稼げるテーマであることを再認識すべきである。この基本があって、新規性を打ち出す生活歳事提案が活きてくる。



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

新着記事

2024.11.20

24年9月の「旅行業者取扱高」は19年比で75%に

2024.11.19

24年10月の「景気の先行き判断」は2ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.11.19

24年10月の「景気の現状判断」は8ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.11.18

企業活動分析 アルファベット(グーグル)の23年12月期は、グーグルサービスがけん引し売上過去最高を更新

2024.11.18

企業活動分析 アマゾンの23年12月期はAWSがけん引し営業利益前年比3倍へ

2024.11.15

24年9月の「現金給与総額」は33ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.11.14

24年9月の「消費支出」は5ヶ月連続のマイナスに

2024.11.14

24年9月の「家計収入」は5ヶ月ぶりのマイナス

2024.11.13

24年9月は「完全失業率」、「有効求人倍率」とも改善

2024.11.12

企業活動分析 ローソンの23年2月期は、「地域密着×個客・個店主義」徹底し増収増益

2024.11.12

企業活動分析 セブン&アイHDの24年2月期は海外事業の影響で減収も過去最高益を更新

2024.11.11

24年10月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のプラス

2024.11.08

消費者調査データ No.416 レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア

2024.11.07

企業活動分析 楽天グループの23年12月期は27期連続増収も、モバイルへの投資で4期連続の赤字

2024.11.07

24年9月の「新設住宅着工戸数」は5ヶ月連続のマイナス

2024.11.06

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向

2024.11.05

企業活動分析 ファンケルの24年3月期算は国内売上がけん引し、3期ぶりの増収増益へ

2024.11.05

企業活動分析 コーセーの23年12月期は、国内好調も中国事業低迷で増収減益に

2024.11.01

成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場(2024年)

2024.10.31

月例消費レポート 2024年10月号 消費は緩やかな改善が続いている-政治が消費回復のリスクに

2024.10.31

消費からみた景気指標 24年8月は6項目が改善

週間アクセスランキング

1位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

2位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

3位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

4位 2024.02.02

成長市場を探せ コロナ禍乗り越え再び拡大するチョコレート市場(2024年)

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area