半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2002年08月09日

営業現場の科学
第15回 ニューマーケットをつかめ
営業戦略チーム 合田

 小売市場の商圏間格差、企業間格差がひろがっている。メーカー営業は今、いかに魅力度の高い商業集積で勝つか、いかに有力小売企業で勝つかの戦いになっている。では、どんな商圏や企業に注目できるのか。躍進する小売企業をてがかりに、いくつかの営業のヒントを探ってみたい。

 2001年度専門店調査によれば、日本の専門店の売上高ランキングは、ヤマダ電機が首位となり、次いでコジマ、ヨドバシカメラのような家電、カメラ専門量販店がトップ3を占めた。1991年ランキングと比べると、チヨダ・マルトミ(靴)、ダイクマ(DS)、青山商事(紳士服)など7社が脱落し、新たにヤマダ電機・コジマ(家電専門量販店)、ヨドバシカメラ・ビックカメラ(都市カメラ量販)、しまむら・大創産業のような低価格を売りにしながらも品揃えに趣向を凝らした企業がランクインしている。

 これらの結果から次のようなチャンスを見いだすことができる。


図表.1991年度・2001年度専門店調査売上高ランキング


(1)都市のマーケット

 ヨドバシカメラ、ビックカメラはともに都市の繁華街に大型店舗を構えることで成功している。ヨドバシカメラは新宿・大阪の梅田など都市への集中出店によって圧倒的な坪効率で成長を続けている。ビックカメラも池袋や新宿で百貨店との融合店舗で多くを集客している。最近では、ベスト電器が新宿高島屋内に出店して成果をあげている。ヤマダ電機も都市への出店を増やしている。都市の集客力が高まりマーケットとしての魅力度が高まっている。

(2)ニュースタイルマーケット

 しまむらは婦人服、子供服のチェーンで、主に低価格路線で成功した企業であるが、最近では、海外視察によっていちはやく流行のファッション情報を仕入れ、メーカー・卸と共同で商品を開発し、短いサイクルで低コストで販売して利益を上げる仕組みによって成長している。新しいファッションや流行に目をつけ店頭に並べるスピードは伊勢丹新宿店より1ヶ月早いとも言われている。

(3)ワンプライスレジャーマーケット

 大創産業(100円ショップのダイソー)の年間販売点数は20億点に及ぶ。国民1人当たりにすると年間16個になる。品揃えは6万点。毎月700点が加わっている。米国にもワンコイン販売方式の「ダラーゼネラル」等があるが、低所得者層の生活必需品ニーズに対応した品揃えになっている。一方、ダイソーの提供するのは「新しい買い物の楽しさ」であり、文具、アクセサリー、衣料など多様な品揃えから「主婦のレジャーランド」とも言われている。

 都市の商圏で勝つこと、新しいスタイルをいちはやく取り込んだ店頭提案や、買い物を楽しくする仕掛けづくりに意欲のある店に注力すること、等が成果をあげるひとつのてがかりになるのではないだろうか。一方、こうした成功企業の売り方アイデアを自分なりに加工して提案の中に盛り込んでいくことも大切である。様々な成功企業に目を向けてみて欲しい。



参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

新着記事

2025.03.07

消費者調査データ RTD(2025年3月版) 「氷結」、「ほろよい」の競り合い続く アサヒの新顔は高いリピート意向

2025.03.06

25年1月は「完全失業率」は横ばい、「有効求人倍率」は改善

2025.03.05

25年2月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のプラス

2025.03.04

関税政策に日本企業はどう対応すべきか

2025.03.04

25年1月の「新設住宅着工戸数」は9ヶ月連続のマイナス

2025.03.03

企業活動分析 NECの24年3月期は国内がけん引し増収増益

2025.02.28

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 清貧・ゆとり世代が消費を牽引!賞与の使い道は?

 

2025.02.28

消費からみた景気指標 24年12月は7項目が改善

2025.02.28

25年1月の「ファミリーレストラン売上高」は35ヶ月連続プラス

 

2025.02.28

25年1月の「ファーストフード売上高」は47ヶ月連続のプラスに

2025.02.27

MNEXT 情況の戦略判断シリーズ トランプを揺るがすネット世論 - 正体は「ルサンチマン」

  

2025.02.27

減税政策は人気とりのバラマキ政策か

2025.02.27

月例消費レポート 2025年2月号 消費は改善の動きが続いている - 物価や金利の上昇ペース次第で消費回復のブレーキとなるおそれも

2025.02.26

25年1月の「全国百貨店売上高」は3ヶ月連続のプラスに

  

2025.02.26

25年1月の「チェーンストア売上高」は既存店で3ヶ月連続のプラスに

2025.02.26

25年1月の「コンビニエンスストア売上高」は2ヶ月ぶりのプラスに

2025.02.25

企業活動分析 ヤマダHDの24年3月期は主力のデンキセグメント不振で3期連続の減収減益へ

2025.02.21

消費者調査データ スナック菓子(2025年2月版) 経験率7割超、カルビー「ポテトチップス」の人気揺るがず

2025.02.21

24年12月の「旅行業者取扱高」は19年比で79%に

2025.02.20

24年12月の「商業動態統計調査」は9ヶ月連続のプラス

2025.02.19

月例消費レポート 2025年1月号 消費は改善の動きがみられる - 国内外からの物価上昇リスクが消費回復を妨げるおそれも

2025.02.18

25年1月の「景気の先行き判断」は5ヶ月連続の50ポイント割れに

2025.02.18

25年1月の「景気の現状判断」は11ヶ月連続で50ポイント割れに

週間アクセスランキング

1位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

2位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

3位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

4位 2025.02.27

減税政策は人気とりのバラマキ政策か

5位 2013.03.22

MNEXT ビックカメラによるコジマの買収はメーカーを巻き込んだ衰退業界再編の始まり

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area