半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2002年10月04日

営業現場の科学
第19回 ストアタイプ別アプローチ
営業戦略チーム 舩木

 小売業の業績低迷が続いて久しい。日本チェーンストア協会のデータでみると、既存店売上高は42ヶ月連続でマイナスが続いたことはご存じだと思うが、店舗数は平成12年5月以降28ヶ月連続マイナス、そして大型店出店により増え続けていた総売場面積も昨年11月以降マイナスに転じ、現在では前年同月比85%という状況にある(図表1)。


図表1.スーパーの店舗数、売上、売場面積の推移


 このような状況下で小売業は大きな方向転換を図っている。ダメな店はスクラップし単店を強くしていく試みである。わかりやすくいうと、店舗の権限を強くし、立地する商圏にあわせて店独自の品揃えや売り方を取り入れるようにしたことだ。ということは、我々営業に求められていることは、個店対応を強化することだ。バイヤーに全店統一の提案をもっていっても、条件要求されるのがみえているし、たとえバイヤーレベルで商談が成立したとしても個店での実施率は低くなる(一説には30~40%)。

 しかしながら、1店1店対応するのは非常に面倒であるし、現実問題なかなかできない。

 どうするか。対策はふたつある。担当企業のなかの拠点店を丁寧にフォローしていく方法とストアタイプ別の企画提案をしていくことだ。今回、提案したいのは後者のアプローチだ。

 すでにいくつかの企業でこうした取り組みが始まっている。あるCVSでは、ガムの棚割展開を変えた。オフィス街立地は当然OL客が多いので、タブレット系、つぶガムをゴールデンゾーンに、ロードサイド立地のタイプでは車での利用が多いので眠気ざましや板ガムをゴールデンゾーンにフェーシングしている。また、あるメーカーでは店舗パターンと特徴を整理したリストを持っており、棚割提案やエンド売り場提案の時に「この売り場づくりはこのパターンの店でやりましょう」という提案をすることで成果を上げている。


図表2.業態別ストアタイプ


 ほとんどの小売業は、いくつかのストアタイプやフォーマットをもっている。ストアタイプを分ける軸は、立地、売場面積、品揃え、ストアコンセプトと企業によって様々だ。担当する企業にあわせたストアタイプ別の店舗リストをつくり、タイプにあわせた提案をしてみてはどうだろうか?これを受け入れないバイヤーは、よほど感度が悪いと考えて良い。その際は、スーパーバイザーやエリアマネジャークラスに提案してみるといい。彼らの方が企業方針を着実に理解し実行できるし、実際、こうしたアプローチをしてバイヤーを納得させているケースもある。

 参考までに主要な業態のストアタイプの切り口を整理してみた(図表2)。これをたたき台にして担当企業へのストアタイプ別の提案活動にトライしてみてほしい。



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

2024.04.22

JMR生活総合研究所 ゴールデンウイーク期間中の営業のお知らせ

新着記事

2024.04.26

消費からみた景気指標 24年2月は10項目がプラスに

2024.04.26

24年3月の「全国百貨店売上高」は25ヶ月連続のプラス、インバウンドや物産展が好調

2024.04.26

24年3月の「ファーストフード売上高」は37ヶ月連続のプラスに

2024.04.26

24年3月の「ファミリーレストラン売上高」は25ヶ月連続プラス

2024.04.25

月例消費レポート 2024年4月号 消費は足許で持ち直しの動きが見られる-「いつも通り」の消費の風景が戻ってくるようになれば消費回復の見通しもより確かなものに

2024.04.24

24年3月の「チェーンストア売上高」は既存店で13ヶ月連続のプラス、食料品がけん引

2024.04.24

24年3月の「コンビニエンスストア売上高」は4ヶ月連続のプラスに

2024.04.23

24年2月の「旅行業者取扱高」は19年比で78%に

2024.04.23

24年2月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.04.12

成長市場を探せ ビスケット市場、4年連続プラスで初の4,000億超えに(2024年)

2位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

3位 2022.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2022年5月版) 「レッドブル」「モンスター」認知率拡大、上位の牙城揺るがず

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area