半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2002年10月18日

営業現場の科学
第20回 ピンポイント提案書による取引先維持
営業戦略チーム

 多くの業界で市場成熟が進展している。こうした環境下での新規の売り先や売場を開拓していく営業活動はイコール競合の取引先や売場を奪取することを意味する。開拓先と競合の間にあるこれまでの取引や取り組みの関係を越えて自社にスイッチしてもらえるような新たな条件を創造しなければならない。競合は既得権の上に、守りの方策を講じてくる。新規開拓の営業は益々困難になっている。また、闇雲に量を追求するだけの新規開拓営業の危険性は、第8回「拡販余地の開拓営業」で指摘した通りである。メーカーがその開発商品を基軸に市場創造でき、取扱先を比較的容易に開拓することができた時代が終わってしまった今、既存顧客の維持が逆に重要なテーマとして浮上している。一般論として既存顧客の維持コストは新規客獲得コストの5分の1とも言われている。

 顧客維持の鍵は、継続した取引先への役立ちを実現することである。あなたには、提案営業の連鎖をつくることが要請される。このためには、武器となる提案書をタイミングよく提出していく必要がある。さて、あなたの提案書はどうなっているだろう。提案書というと気構えして小冊子のようなボリュームのものを作成してはいないだろうか。提案書は目標達成のための手段のひとつにしかすぎないし、あなたが提案したい内容を表現したものであれば十分である。極端に言えば、A4のペラ一枚でもよい。たとえ体裁は貧弱でも取引先の課題解決につながる「あなたの考え」を提示することである。つぎのような割り切りをしてみてはどうか。そして、ピンポイント提案書を機動的に活用することだ。

  1. 取引先の社内会議で検討資料に使われれば十分である
  2. 営業先担当者の本音や意見を引き出すにはポイントを明瞭にしたもので十分である
  3. 必要以上に分量ある提案書は読まれない

 このピンポイント提案書で外してはいけないポイントは三つである。このポイントを外さないためには、バイヤーの商品仕入に関する基本方針や現在の得意先企業が置かれている環境を客観的に捉えておく必要がある。

  1. 提案の背景となる取引先の抱える課題の整理
  2. 提案の内容が取引先にどのような効果・メリットを生み出すのか
  3. 具体的な実行計画と予算

 さて肝心なのは、ピンポイント提案書を提出した後のフォローである。ここでのポイントも三つある。

  1. 提案内容が取引先サイドでどの程度検討されているのかをチェックする
  2. 提案内容の決定スピードを上げるために、関連資料や正式な提案書を提出する
  3. 提案によって変化が予想される取引先の他部門の反応をチェックする

図表.商品採用に関するバイヤーの基本方針の事例



参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


新着記事

2025.01.22

24年11月の「家計収入」は2ヶ月連続のプラスに

2025.01.22

24年11月の「消費支出」は7ヶ月ぶりのプラスに

2025.01.21

企業活動分析 株式会社サイゼリヤ 24年8月期は引き続きアジアがけん引し増収増益

2025.01.20

MNEXT 新たな成長戦略で日本再生へ―トランプ2.0を契機に転換

2025.01.17

消費者調査データ No.419 キャッシュレス決済(2025年1月版) 利用経験ついに5割超え 「PayPay」独走態勢なるか

2025.01.16

24年11月の「現金給与総額」は35ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2025.01.16

24年11月は「有効求人倍率」、「完全失業率」とも横ばい

2025.01.15

月例消費レポート 2024年12月号 消費は足踏み状態が続いている-国内外からの物価上昇圧力は消費にマイナスの恐れ

2025.01.14

企業活動分析 マンダムの24年3月期は2期連続の増収増益、女性事業が好調

2025.01.10

24年11月の「新設住宅着工戸数」は7ヶ月連続のマイナス

2025.01.09

24年12月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のマイナス

2025.01.08

企業活動分析 富士フイルムHDの24年3月期は増収増益、過去最高を更新

2024.12.27

24年11月の「ファーストフード売上高」は45ヶ月連続のプラスに

2024.12.27

24年11月の「ファミリーレストラン売上高」は33ヶ月連続プラス

2024.12.27

消費からみた景気指標 24年10月は4項目が改善

2024.12.26

提言論文 消費者が示すサービスブランドの価値実現率-価値伝達なしの生存はない

2024.12.25

24年11月の「全国百貨店売上高」はふたたびプラスに インバウンドや冬物衣料が好調

2024.12.25

24年11月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月ぶりのプラスに

2024.12.24

24年11月の「コンビニエンスストア売上高」は12ヶ月連続のプラスに

2024.12.23

MNEXT 価値と欲望の充当関係とは何か-市民社会の基本原理

週間アクセスランキング

1位 2025.01.20

MNEXT 新たな成長戦略で日本再生へ―トランプ2.0を契機に転換

2位 2025.01.15

月例消費レポート 2024年12月号 消費は足踏み状態が続いている-国内外からの物価上昇圧力は消費にマイナスの恐れ

3位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

4位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

5位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area