半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2005年04月18日

営業現場の科学
第25回 個店アプローチ-意思決定者に会えているか?
営業戦略チーム

 食品、飲料、日雑など多くの消費財メーカーの主要チャネルは、GMS、SM、CVSなどの所謂、組織小売業といわれるものになっている。最近では、ダイエーが丸紅を中心とした再建機構による立て直しに入り、また、イトーヨーカ堂やイオンも本業が不調と報じられ、GMS業態が苦戦している一方で、ドラッグストア業態が伸長するなどチャネル戦略の見直し気運も高まっている。

 さて、組織小売業への営業の基本は本部商談である。年間取引目標や相互の取り組みに関して、流通企業の本部において自社の商品担当バイヤーと商談を行う。ここで決定されたことは、本部通達として各個店へオペレートされ、例えば今春の新商品が全店に3フェイスずつ、POP付きで導入されるということになる。新商品の配荷店率を上げるには、本部バイヤーとの商談が鍵であることは間違いないが、実は個店へのアプローチが有効であることもまた事実である。


図表.あるチェーンにおける意思決定権


 売場づくり施策の意思決定権がどこにあるかを、あるチェーンを事例にしてみてみよう。このチェーンでは、商品のフェイス数やその位置といった定番棚に関しては本部が決定する割合が高いが、エンド陳列や定番外売場、メーカーツールの取付けといった催事に関連する事項では、店長の裁量で意思決定される割合が高いことがわかる(図表)。実際に購入する消費者との接点である売場づくりに関しては、本部決定の一辺倒ではない。個店を丁寧に巡回し、店長や売場担当者に、個店の立地特性や来店者特性に合わせた売場づくりを提案するチャンスがある。

 本部権限が強いか、個店裁量が強いかについては、各々の組織小売業の企業方針に依るところが大きいが、業界全体の風潮(上位企業が店長裁量を大きくするという動きを採ると中堅企業は模倣する)にも左右される。また、近年のように利益重視が叫ばれると本部主導が強まるなど、目標の置き方も影響する。

 ポイントは、売れる状態づくりを最適に行うために、どの関与者を攻めるのかを明確にしておくことである。配荷率を高めるには本部バイヤーへ、エリア特性を活用した店頭づくりを行うには店長や売場担当者へ、というように自身の展開したい施策に対し、誰に、どのような提案を準備して会えばいいのかを予め準備しておくことだ。「個店の巡回や店頭フォローは特約卸店の業務だ」として、本部商談のみに囚われていると、配荷率は高まっても、店頭での販売が滞ることになりかねない。競合の中で着実にシェアアップしている企業がある場合、こうした個店アプローチ積み重ねによる定番外売場の支配力アップやきめ細かなツール提供などの努力が実を結んでいることがよく見受けられる。個店の売場はこうしたことを察知するレーダーとしても有効に機能する。



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

新着記事

2025.03.07

消費者調査データ RTD(2025年3月版) 「氷結」、「ほろよい」の競り合い続く アサヒの新顔は高いリピート意向

2025.03.06

25年1月は「完全失業率」は横ばい、「有効求人倍率」は改善

2025.03.05

25年2月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のプラス

2025.03.04

関税政策に日本企業はどう対応すべきか

2025.03.04

25年1月の「新設住宅着工戸数」は9ヶ月連続のマイナス

2025.03.03

企業活動分析 NECの24年3月期は国内がけん引し増収増益

2025.02.28

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 清貧・ゆとり世代が消費を牽引!賞与の使い道は?

 

2025.02.28

消費からみた景気指標 24年12月は7項目が改善

2025.02.28

25年1月の「ファミリーレストラン売上高」は35ヶ月連続プラス

 

2025.02.28

25年1月の「ファーストフード売上高」は47ヶ月連続のプラスに

2025.02.27

MNEXT 情況の戦略判断シリーズ トランプを揺るがすネット世論 - 正体は「ルサンチマン」

  

2025.02.27

減税政策は人気とりのバラマキ政策か

2025.02.27

月例消費レポート 2025年2月号 消費は改善の動きが続いている - 物価や金利の上昇ペース次第で消費回復のブレーキとなるおそれも

2025.02.26

25年1月の「全国百貨店売上高」は3ヶ月連続のプラスに

  

2025.02.26

25年1月の「チェーンストア売上高」は既存店で3ヶ月連続のプラスに

2025.02.26

25年1月の「コンビニエンスストア売上高」は2ヶ月ぶりのプラスに

2025.02.25

企業活動分析 ヤマダHDの24年3月期は主力のデンキセグメント不振で3期連続の減収減益へ

2025.02.21

消費者調査データ スナック菓子(2025年2月版) 経験率7割超、カルビー「ポテトチップス」の人気揺るがず

2025.02.21

24年12月の「旅行業者取扱高」は19年比で79%に

2025.02.20

24年12月の「商業動態統計調査」は9ヶ月連続のプラス

2025.02.19

月例消費レポート 2025年1月号 消費は改善の動きがみられる - 国内外からの物価上昇リスクが消費回復を妨げるおそれも

2025.02.18

25年1月の「景気の先行き判断」は5ヶ月連続の50ポイント割れに

2025.02.18

25年1月の「景気の現状判断」は11ヶ月連続で50ポイント割れに

週間アクセスランキング

1位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

2位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

3位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

4位 2025.02.27

減税政策は人気とりのバラマキ政策か

5位 2013.03.22

MNEXT ビックカメラによるコジマの買収はメーカーを巻き込んだ衰退業界再編の始まり

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area