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公開日:2009年11月27日

営業現場の科学
第39回 想起集合に入る
営業戦略チーム

 想起集合(evoked set:イヴォクトセット)とは、例えば、ある目的で消費者が何か商品を購入しようとする際に、記憶から直接想起される選択肢(商品・サービス)の集まりのことである。実際に購入される商品・サービスは、このようにあらかじめ想起されたものの中から選ばれる可能性が高い。従って、一般的には、想起集合に入らなければ購入される可能性は低くなる。

 あなたの会社の商品・サービスは、営業先の担当者の想起集合に入っているだろうか。想起集合に入るためには、広告宣伝などによる商品・サービスの認知の向上やカタログ、周りの人の評判や実物への接触や過去の使用経験などを通じた良い評価の形成といったものが必要となる。

 しかし、これは、商品・サービスそのものの次元の話である。果たして、営業パーソンとしてのあなたは、営業先担当者の想起集合に入っているだろうか。何か困った時、商品・サービスを注文しようと思った時、情報が欲しい時などに声を掛けて頂ける対象として、あなた自身が想起されているか、ということである。

 想起集合に入るためには、扱う商品・サービスの良し悪しという次元ももちろんあるが、それも含め、トータルに営業先の課題解決ができるかどうかが鍵を握っている。このためには、あなた自身の特徴を相手に印象づけることが必要だが、奇をてらうことはない。商談の際に、営業先担当者の関心事項、問題意識、不満をよく聞き出すことである。売りたい商品・サービスを活かし、より具体的でジャストフィットする解決策の提案を通じてしか、想起集合には入れない。営業先担当者の問題意識をよく理解し、同じ目線を持つことからスタートする。そして、当事者意識で問題解決策を考える。営業先担当者の属する組織のミッション、関与する組織の構造、担当者の社内での立場を理解し、自分が当事者だとしたら、どのようなことを求めるのか、と具体的に考えて提案することである。たとえその時に直接の売上が得られなくとも、担当者からの信頼を勝ち取り、想起集合に入り、様々なことを相談される相手になることができる。こうした相手となることが基本である。



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