商談で自社の商品・サービスを説明する際に、あなたはどんなことを心掛けているだろうか。客観的な特徴、そして相手にとっての役立ち方・メリット、競合他社と比べた場合の優位点などの説明。その内容は、説明している自分にとっては「有利な情報」で、説明を受ける相手にとっては「良い情報」ばかりになってはいないだろうか。このような長所だけを述べる場合のことを「片面説得」と言う。相手が自社の商品・サービスに好意を持っているなど、説明する側と同じ態度である場合や相手が説明される内容にあまり詳しくない場合などは、この片面説得が有効だと言われる。
しかし、物事には良い面と悪い面があるというのが一般的だ。このため、良い面だけを強調されても、何か悪い面が隠れているのではないかと考える相手もいる。特に、相手が自社の商品・サービスに対する好意や関心を持っていない場合や、知識が豊富で詳しい場合などは、良い面ばかりの片面説得では納得してもらえない。
そこで、思い切って「良い情報」だけでなく、「悪い情報」も併せて説明することだ。これは「両面説得」と言われる。「ここまで高機能である」「今までに無い、こんなお役立ちができる」、しかし、「価格は若干高く」「納入条件でもいくつか制約が」といった、良い面と悪い面を同時に説明するスタイルである。このことにより、最初から悪い面も包み隠さずに案内するという誠実さや公正さが相手に伝わり、信頼性が高まる。さらに重要なのは、競合の営業があなたの会社の商品・サービスの弱点を挙げ優位に立とうとセールストーク(「逆説得」と言われる)を行った場合でも、事前に両面説得で悪い情報を案内しておくことで免疫が作られ、「逆説得」されにくくなる効果もある。プラス面とマイナス面を提示された上で、形成された「自身の態度」は揺らぎにくくなる。相手を見極めた上で、良い情報を並べるばかりではなく、恐れずに悪い情報も提示することが肝要である。
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