半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2010年10月28日

営業現場の科学
第44回 定期継続訪問の意味―スリーパー効果を活用する
営業戦略チーム

 開拓営業活動で初回訪問した際に、相手からあまり芳しい評価を得られなかった、話題が進展せず見込みを感じられなかった、こちらの話に関心を示して頂けなかった、ということはよくある。そして、初回訪問時のこうした結果から「見込みなし」と判断し、以降の訪問活動対象先から削除したり、積極的な2回目の訪問ができなかったりする。しかし、これでは訪問対象先がいくらあっても足りないことになってしまう。

 そこで、スリーパー効果(仮眠効果、居眠り効果)を意識して活用してはどうだろうか。これは、信頼性が低い送り手(情報源)から得られた情報は、その場では送り手の信憑性が低いので態度変容は生じないものの、時間の経過とともに、送り手と情報が分離され、相対的に説得効果が増す現象をいう。送り手の信頼性に関する忘却の方が情報内容の忘却よりも早いために、このような現象が起こるといわれている。情報の送り手の信頼性が時間経過とともに眠ってしまうという意味合いでスリーパー効果(仮眠効果、居眠り効果)と名づけられている。

 これを、営業の開拓活動に応用して考えてみると、初回訪問時はいくらあなたが商品やサービスに関する説明を行っても、あなた自身の信頼感が形成されていないので、その場では関心を得ることが出来ない。しかし、一定の時間をおくことで、情報を提供したあなた自身のことはスリーパー効果で忘れられてしまうが、提供した商品やサービスに関する情報が効果を生み出し、受け取り方などの態度が変容している可能性がある、ということになる。初回訪問での感触が悪かったからといって訪問活動対象先から削除するのではなく、一定の時間をおいたところで再アプローチを掛ける価値はある。この際、相手から商品・サービスに関する評価を改めて確認してみることだ。また、初回訪問時こそ、自社の商品・サービスがいかに相手先にとって価値を生むものであるかということを印象づける会話を心掛けるべきである。初回訪問で諦めるのではなく、定期継続訪問する意味はここにある。



参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

新着記事

2025.01.22

24年11月の「家計収入」は2ヶ月連続のプラスに

2025.01.22

24年11月の「消費支出」は7ヶ月ぶりのプラスに

2025.01.21

企業活動分析 株式会社サイゼリヤ 24年8月期は引き続きアジアがけん引し増収増益

2025.01.20

MNEXT 新たな成長戦略で日本再生へ―トランプ2.0を契機に転換

2025.01.17

消費者調査データ No.419 キャッシュレス決済(2025年1月版) 利用経験ついに5割超え 「PayPay」独走態勢なるか

2025.01.16

24年11月の「現金給与総額」は35ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2025.01.16

24年11月は「有効求人倍率」、「完全失業率」とも横ばい

2025.01.15

月例消費レポート 2024年12月号 消費は足踏み状態が続いている-国内外からの物価上昇圧力は消費にマイナスの恐れ

2025.01.14

企業活動分析 マンダムの24年3月期は2期連続の増収増益、女性事業が好調

2025.01.10

24年11月の「新設住宅着工戸数」は7ヶ月連続のマイナス

2025.01.09

24年12月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のマイナス

2025.01.08

企業活動分析 富士フイルムHDの24年3月期は増収増益、過去最高を更新

2024.12.27

24年11月の「ファーストフード売上高」は45ヶ月連続のプラスに

2024.12.27

24年11月の「ファミリーレストラン売上高」は33ヶ月連続プラス

2024.12.27

消費からみた景気指標 24年10月は4項目が改善

2024.12.26

提言論文 消費者が示すサービスブランドの価値実現率-価値伝達なしの生存はない

2024.12.25

24年11月の「全国百貨店売上高」はふたたびプラスに インバウンドや冬物衣料が好調

2024.12.25

24年11月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月ぶりのプラスに

2024.12.24

24年11月の「コンビニエンスストア売上高」は12ヶ月連続のプラスに

2024.12.23

MNEXT 価値と欲望の充当関係とは何か-市民社会の基本原理

週間アクセスランキング

1位 2025.01.20

MNEXT 新たな成長戦略で日本再生へ―トランプ2.0を契機に転換

2位 2025.01.15

月例消費レポート 2024年12月号 消費は足踏み状態が続いている-国内外からの物価上昇圧力は消費にマイナスの恐れ

3位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

4位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

5位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area