低リスクにシフトする中国の富裕層 | |
-投資タイプからみた中国富裕層の消費特徴 | |
楊 亮 | |
中国の招商銀行は北京(Beijing)、上海(Shanghai)、広州(Guangzhou)、武漢(Wuhan)、成都(Chengdu)、西安(Xian)、沈陽(Shenyang)の7都市で、中国富裕層の投資方法について、計921名に対して調査を行った。今度の調査は上海にある零点遠景という投資コンサルティング会社により実施された。個人金融資産が50万元以上(約700万円以上)所有している富裕層が今度の調査対象者である。この階級の人数は推定では都市部人口の5%、全国人口の1.5%を占めている。 調査結果では、全体的に中国富裕層がもっとも好む投資商品として不動産が選ばれた。これまで人気があった株式投資は今年の市場低迷を受けて、去年の2位から4位に順位を下げ、その分はリスクの低い銀行などでの貯蓄に変わったため、貯蓄は投資商品の2位に上がった。また、投資商品3位になった子供の教育ファンド(投資商品の一種類)は、近年富裕層の中で子供の教育と資産の相続が重視され、教育ファンドへの投資比重は年々大きくなってきていることが背景にある。今度の調査を通じて、長期にわたって価値の安定性が高いとされる骨董品やゴールド・宝石類の収蔵、及び国債比重の増加も見られた。 中国政府はバブル的に過熱する国内経済を抑制し、安定成長への軟着陸を目指して金融引き締め策を推進している。10月末には銀行預金と貸出の基準金利を引き上げると発表するなど特に再過熱の兆しを見せる固定資産投資の沈静化を狙ったものである。こうした金融引き締め策がどの程度富裕層の投資行動にインパクトを与えるのか注目される。また同調査では先に述べた投資タイプにより、中国の富裕層を以下の4タイプに分けている。中国の富裕層攻略に向けた興味深いデータである。
(2004.11)
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