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一大ブランド消費市場に変貌する中国
楊 亮
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 今年5月、英ファイナンシャルタイムス主催の「第1回高級ファッションブランド・サミット」(FT Business of Luxury Summit)が上海で開催された。有名高級ファッションブランドのCEO及び大手投資会社JPモルガン、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーのアナリストなど約400名が出席し、「New Market, New Luxury」について3日間の討論が交わされた。ゴールドマン・サックスのブランド消費研究報告によると、2004年中国国内の高級ファッションブランドの消費額は世界の12%に達した。中国はいま世界で最もブランドマーケットの成長が著しい地域として注目されている。国別での売上をみると、中国はルイ・ヴィトンでは第4位、グッチでは第5位になっている。
 しかし、多くの中国消費者は、そのブランドが持つ伝統や文化をまだ理解しておらず、単なる社会的ステータスの象徴として受け入れている。また、中国の消費者は、ブランドの製品のなかでもとりわけ高級衣料が好きだという結果も出た。例えば、LVMHグループ傘下の高級ファッションブランドでは、中国本土のシェアがもっとも高く、32%を占めている。バーバリーやグッチも中国市場における利益の源泉は、衣料品だ。

表1.海外における中国旅行者の消費分野順位
 近年、中国人の海外旅行が解禁になったのを契機に、海外での中国人のブランド品購入はバブル時代の日本を彷彿させられるぐらいのブームとなっている。調査会社ACニールセンと世界免税協会が共同で、北京、上海、広州に在住している最近半年間に海外旅行経験のある1,500人を対象に調査を行った結果によると、中国人の海外旅行者が1回の海外旅行で買物に消費した平均額は987米ドルに達し、日本を抜いて世界でトップとなった。また海外で購入する商品の上位三つは高級衣料、化粧品、キャンディーといった順位となっている。

 中国人の海外でのブランドものの購入ブームが持続している大きな理由として、中国本土ではブランドものに高い関税が課されていることがあげられる。海外でブランドものを買った方が国内で買うより20-30%安くなる。例えば高級化粧品の場合、香港を訪ねる中国本土の観光客の約4割が、香港の化粧品専門店SaSaで、本土のデパートより3割から5割安い価格でランコム、エスティローダー、資生堂など国際ブランドの商品を購入している。

 モルガン・スタンレーのアナリストは、中国でブランド市場が成熟期に入ると、同市場の消費者は1億人に達すると分析している。高級ブランドの中国市場進出を加速するために、中国政府は今年7月から海外からの帰国者を対象に新たな税制を実施している。海外で購入したブランド商品は、帰国時空港で課税対象となり、高級ファッションや腕時計には購入金額の10%、電子製品には20%、タバコや酒類には50%が課せられる。ブランドものの海外と国内における価格格差の縮小を狙う同時に、中国人の海外でのブランドもの購入ブームにブレーキをかける効果も期待できるだろう。

 「世界の工場」の中国はいま、世界ブランドの大消費地に変わりつつある。
(2005.09)

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