変わる中国の流通勢力図 |
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家電量販店が上位に進出 | |
注目すべきは、国美電器集団が首位に立ち(前年2位)、3位にも蘇寧電器が入り(同3位)、トップ3のうち2社を家電量販店が占めたことである。また江蘇五星電器(12位/米ベスト・バイが買収)、宏図三胞高科技術股分(20位/パソコン販売大手)、北京市大中電器(25位)と5社がトップ20に入ったように家電量販店の台頭があげられる。また、中国小売業の対外開放から2年目ということで注目された外資系小売業は、トップ10に入ったのは家楽福(中国)管理咨詢服務(仏・カルフール)のみであった。しかしトップ30には9社がランクインした。また日本企業では、イオンの永旺(中国)商業が57位が最高位であった。
首位に立った国美電器集団は、業界3位であった中国永楽電器販売を買収したことで、店舗数が前年比で約倍増(92%増)し、売上高が前年比7割以上増加(74%増)したことで、これまで首位の百聯集団を約100億元も上回り首位を奪取した。また、蘇寧電器も売上高が前年比53%、江蘇五星電器が同22%、宏図三胞高科技術股分が54%、北京市大中電器12%増と高い伸びを示していることから、業態として家電量販店の勢力は今後も当面続くことが確実視される。 一方、傘下に百貨店、スーパー、ハイパー、CVS、SCといった複数業態と中国全土に6,000件軒以上を展開していることから「中国流通業界の巨人」と称される百聯集団は、首位の座を奪われたとはいえ、前年比で売上高8.0%増と拡大している。しかし、スーパーマーケット業態は外資系企業の台頭もあり、今後は顧客の獲得競争にさわされる可能性が高い。 外資系企業も規制緩和により、出店のスピードを早めている。2006年の新規出店数は、6位のカルフール33店、14位の米ウォルマート・ストアーズ15店、23位の独メトロ6店、24位の英テスコ8店をはじめ、日本のイオンやイトーヨーカ堂など含めた11社で100店を超え、05年の水準を上回った。特にウォルマートは世界一の小売業の威信に懸け、日本参入後の実績が芳しくない現状から、アジア市場市場展開において中国市場での失敗は許されない。06年の売上高は前年比30%増でランキングを22位から14位にまでアップさせたが、対する外資系ではトップのカルフールは同53%増とウォルマートを上回る成長をみせ、ランキングを9位から6位にアップさせた。今後も2社の拡大競争が熾烈さを増し、スーパー市場での勝ち残り条件が厳しくなっていくと思われる。 最後に、日系企業では、ジャスコを展開するイオンの永旺(中国)商業が57位、イトーヨーカ堂の華糖洋華堂商業が68位となっている。イオンは、全額出資子会社「北京永旺商業」を設立し、08年夏をメドにモール型ショッピングセンター(SC)を開店させる。また伊勢丹が、07年秋に全額出資子会社を設立し、市内有数の商業地域である西単地区に建設中の複合ビルに売場面積3万5千平方メートルの店舗を展開すると発表されている。中国展開に遅れた感が否めない日系企業は、人口約1,500万人を擁する首都で勝負をかける。08年に五輪を控える北京には、その前後のビジネスチャンスと中長期的な経済発展を狙って、世界中から多くの企業が進出を計画している。このように成長余地の大きい中国市場では、ここ2、3年の間で流通勢力図が劇的に変化する可能性が高く、その動向が注目される。 (2007.05)
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参照コンテンツ
- 中国市場の現在 北京のフードコートにみる市民生活変化 -中国ICカード普及事情
- 中国市場の現在 低リスクにシフトする中国の富裕層 -投資タイプからみた中国富裕層の消費特徴