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拡大する中国スマホ市場は独自の進化を遂げるか
楊 亮
 IT専門調査会社IDCの調査によると、2012年の中国携帯電話市場において、スマートフォン(以下スマホ)の割合が出荷台数ベースで半数を超えたと推計している。

2012年の中国携帯市場
 2012年中国の携帯市場は活気があふれ、各メーカーは絶えず新モデルを発表し、年間合計では800にものぼる新機種を市場に投入。年間出荷台数は3.62億台で、うちスマホは、前年比135%増の2.13億台となり、全体の58.8%と初めて半数を超えた。

サムスン Galaxy S4
Android OS 4.2

レノボ(聯想集団)K900
Android OS 4.2
 メーカー別でみると、スマホの出荷台数は、サムスン(韓国・前年度比153%増)、レノボ(中国・同536%増)、アップル(米国・同145%増)の上位3社が前年を大きく上回っており、上位に集中する傾向がみられる。中国メーカーの中興(同91%増)、華為(同88%増)も前年度比1.9倍という高い水準で伸びているが、販売チャネルの制約を受けて、上位3社の増加率には及ばない。
 携帯市場では世界トップ規模メーカーのノキアは、2013年夏、シンビアンOSを捨てたものの、AndroidやWindowsのスマホの市場投入が遅れたため、出荷台数、市場シェアともに大きく縮小した。

 スマホ市場では、サムスンの高性能な「Galaxy」シリーズ(2013年現在、中国市場では「Galaxy S4」まで発売)とアップル「iPhone」シリーズは、相変わらず中国ハイエンドユーザー(4,000元~5,000元、約6.4~8万円 1元=16円 2013年9月)の間に人気である。しかし、通信キャリア各社は積極的に中国メーカーと協力し、ローエンド(1,000元前後、約1.6万円)のスマホ機種を開発、キャリア固定契約などで端末代金を負担する方法により、高いコストパフォーマンスで消費者を刺激して、スマホ入門ユーザーを獲得している。
 中国メーカーでは、特に前年比536%増という驚異的な伸びを遂げたレノボが、2012年には中国国内三大キャリア(中国移動(チャイナ・モバイル)、中国聯通(チャイナ・ユニコム)、中国電信(チャイナ・テレコム))と業務提携し、販売チャネルの拡大及び豊富な商品ラインで他の中国メーカーを抑えて、スマホ市場2位まで成長する快挙を成し遂げた。

2013年1-3月期の中国携帯市場
iPhone 5 iOS 6.0
 中国スマホ市場の成長勢いは2013年に入ってからも続いている。IDCの「中国携帯市場四半期追跡報告」によると、第1四半期(2013年1-3月)では、中国スマホの出荷台数は前年同期比117%増の7,800万台に達し、携帯出荷台数全体の9,700万台の約8割を占めている。
 メーカー別では、サムスンがシェア19%でトップを維持した。第2位から第5位は、それぞれ宇龍(Yulong・中国)、華為、レノボ、アップルの順になっている。第1四半期では、サムスンはこれまでのハイエンド市場を中心とする市場戦略から、中国国内メーカーが主力とする1,200元(約2万円)以下のミドルクラスのスマホ市場への拡大に変更し、第1四半期では1,200元以下の商品の出荷台数が47%も増加した。一方、2012年下期に6位に転落したアップルは「iPhone 5」の発売、および「iPhone 4」の値下げ販売によって、5位に返り咲いた。

2013年4-6月期の中国携帯市場
小米 2S MIUI +
Android OS 4.1
 第2四半期(2013年4-6月)では、中国メーカーは全体的に好調を維持した。設立わずか2年の「小米(Xiaomi/シャオミー)」は、440万台を出荷し、アップルを抑えて6位にランクインした。「小米」は、クアッドコアプロセッサ APQ8064+800万画素のハイスペックモデルはわずか1,999元(約3.2万円)で、サムスンやアップルと比べて極めて低価格なことから、若者の間で人気を博している。販売方法は、ネット直販のビジネスモデルを採用し、2013年4月の「小米 M2S」発売の際は、45秒間で20万台という驚異的な売上を達成した。

今後の中国携帯市場
華為 Ascend P6
Android OS 4.2

中興 Geek V975
Android OS 4.2
 中国総人口の8割以上を占めている人口100万人未満の5-6級都市では、スマホ以前のモデルによる拡大余地が十分に残されている。しかし、主要都市部でのスマホの急速な普及により、今後は5-6級都市におけるスマホ市場のシェア争奪戦が激化するだろう。ほとんどの中国農村・城鎮(地方都市)人口にとって、現在主流のハイエンド・ミドルクラスのスマホは、実際には利用価値は小さい。そのため、通信キャリア主導で、2Gから3Gへ移動するユーザーを対象に、2013年からすでに599元(約1万円以内)のローエンドスマホ機種を市場に投入し始めた。各通信キャリアと提携する中興、華為のような中国メーカーにとっては今後も更に市場シェアが伸びると考えられる。さらには、宇龍、小米といった新興メーカーが突如ランクインするなど、チャンスも多い市場である。
 現在、中国市場における、スマホメーカートップ10の中では、国外メーカーはサムスンとアップルだけである。サムスンはその技術力と幅広い商品ラインナップ、さらには機動的な市場戦略により、トップの地位をしばらく維持していくことが予測される。アップルは、中国スマホ市場において、そのブランド力をどう維持していくかがこれから勝負のカギになる。現在中国における「iPhone 5」の価格は5,288元 (約8.5万円)で、「iPhone 4」も3,088元(約5万円)である。中国でシェアを拡大するためには、2,000元(約3.2万円)のミドル価格帯の商品の開発・充実が必要だと考えられる。
 そして、機能拡大にともなって大きく変わるスマホ市場環境の中で、いかに高性能、低価格、安定した品質の商品を提供し続けられるかが、中国メーカーが直面する大きな課題である。IDCは、2013年の中国携帯市場の出荷量は前年比5.0%増の3.8億台になり、そのうちスマホは3.0億台で、44%増、2013年中には中国のスマホ人口は5億人を突破すると予測している。更に、2017年の中国市場でのスマホの出荷台数は4.6億台、金額ベースで7,405億元になると予測している。世界有数の大規模かつ、成長市場において、国内外メーカーのシェア争いは激化することが予測される。
(2013.09)







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