2015年度のトクホ(特定保健用食品)全体の市場規模は6,391億円で、前年比4.2%増となりました。今回の調査対象である清涼飲料水と乳製品(乳酸菌飲料、はっ酵乳など)の合計は、トクホ全体の約95%にあたる5,488億円にのぼり(日本健康・栄養食品協会)、大きな市場を形成しています。
今回は、当社が任意に選んだトクホ飲料(清涼飲料水、乳製品)27ブランドについて、「知っている(認知率)」、「買って飲んだことがある(購入経験率)」、最近3ヶ月以内における「広告・記事(を見たことがある)」「店頭など(で見たことがある)での接触状況(3ヶ月内店頭接触)」、「3ヶ月以内に買って飲んだ(3ヶ月以内購入)」、さらに「今後(も)買いたいと思う」(今後購入意向)と「購入経験者における今後の購入意向(再購入意向)」という7項目について、インターネットモニターに対して行った調査結果をランキング形式でお届けします。
今回の結果では、サントリーの「伊右衛門特茶」が7項目中5項目で首位を獲得した。2013年発売の「伊右衛門特茶」は、認知率、再購入意向では3位となったが、残りの購入経験率や店頭接触、広告接触、3ヶ月内購入、今後の購入意向で首位を獲得。特に3ヶ月内購入では2位に5ポイントの差をつけ、「今売れているトクホ」として頭ひとつ抜けた印象だ。
同じサントリーの「黒烏龍茶」も、2位が5項目と強さをみせた。2006年発売のロングセラーで、「伊右衛門特茶」「黒烏龍茶」のサントリーの2品が上位を固める形となった。
サントリーの2品を追うのは、「ヘルシア緑茶(花王)」「ヤクルト400(ヤクルト本社)」、「メッツコーラ(キリンビール)」、そしてやはりサントリーの「胡麻麦茶」である。
トクホの用途別にみた場合、市場規模は「整腸」がもっとも大きいが、今回の上位商品をみると主要な用途に整腸を挙げているのは「ヤクルト400」のみで、体脂肪対策(「伊右衛門特茶」「ヘルシア緑茶」)、脂肪の吸収抑制(「黒烏龍茶」「メッツコーラ」)、血圧対策(「胡麻麦茶」)など、メタボや生活習慣病に関連するものが目立つ。メタボや生活習慣病の改善は、通常長いスパンで取り組むため、「飲み続けることで改善を図る」というトクホのありかたと親和性が高いことが、固定ユーザーの育成につながったとも考えられる。
健康志向を背景に成長を続けてきたトクホ飲料ではあるが、懸念材料もある。2015年に制度導入された機能性表示食品との競争である。消費者庁長官の個別の許可を受ける必要のあるトクホに比べ、安全性及び機能性の根拠に関する情報の届け出だけで表示が可能な機能性表示食品は、トクホに比べて低コストでスピーディな開発が可能なことから、トクホの市場を脅かすとみられている。強力なブランドが市場の内外での競争を繰り広げるトクホ市場の今後が注目される。
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【提示27ブランド】
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- 【調査設計】
- 調査手法:インターネットリサーチ
- 調査期間:2016年10月14日~19日
- 調査対象者:当社インターネットモニター 20歳~69歳
全国の男女個人
- 有効回収サンプル数:1,039サンプル
サンプル構成(%)
- 調査期間:2016年10月14日~19日