No.73 ビール系飲料(2008年版) | ||
07年の新製品攻勢から一転。新製品抑制で、定番ブランドが上位を占める。 | ||
詳細データ(単純集計表・クロス集計表)(LZH形式・有料会員サービス) |
2008年上期(1~6月)のビール業界は業界史上最多の新製品発売に沸いた2007年から一転、大型の新商品発売よりも既存ブランドに軸を置いた展開となっている。これは、新製品ラッシュによる販売合戦が市場の活性化につながらず、結果としてメーカー間の消耗戦に終わり、軒並み収益性低下を招いたことに起因している。 今回は、ビール系飲料(ビール、発泡酒、第三のビール)49ブランドについて、当社のインターネットモニターに行った調査結果をランキング形式でお届けします。 まず全体として、すべてのランキングで上位3位までを占めたのはビールブランドである。具体的には、「キリンラガービール」「キリン一番搾り生ビール」「アサヒスーパードライ」である。また今後の飲用意向で、この3ブランドに食い込んでいるのが、「ヱビスビール」「ザ・プレミアム・モルツ」「アサヒプライムタイム」のプレミアム商品である。以下では、各カテゴリー毎に特長を整理する。 【ビール】 先に述べたように、老舗定番ブランドが各ランキングで上位を占めた。07年3月にキリンが新たな定番ビールとして発売した「キリン・ザ・ゴールド」は、上位10位にランクしたのが「三ヶ月以内に自宅で飲んだ」(9位)のみである。「ラガー」「一番搾り」に次ぐ第三の柱として長期的な育成方針が採られているが、現状はまだ十分な浸透度を得ていないと推測される。 【発泡酒】 「淡麗<生>」と「淡麗グリーンラベル」のキリンの「淡麗」ブランドが上位に食い込んでいる。特に「淡麗<生>」はビール系飲料として、ビールの上位3ブランドに次ぐ高い浸透度を示している。またキリンは「円熟」を展開しており、このカテゴリーでは圧倒的に強い。一方、かつて「淡麗」同様のブランド展開によってシェア争いをしていたアサヒ「本生」はその存在感を大きく低下させている。 【第三のビール】 キリンの「のどごし<生>」がトップの浸透度を保っている。低価格が支持され、規模が拡大しているこのカテゴリーで出荷数量トップを維持しているブランドの強さがうかがえる。「のどごし<生>」を追うのが、「アサヒぐびなま。」「金麦(サントリー)」である。また「三ヶ月以内に自宅で飲んだ人ベース・今後(も)飲みたい)では、「ジョッキ生」(サントリー)が「のどごし<生>」を抑え、全体でも9位である。認知や飲用経験は低いが、固定ファンを掴んでいるようである。 07年のビール系飲料の合計出荷量は06年比0.3%減と、現行の統計が発表されるようになった1992年以降、過去最低を更新した。業界あげての新製品攻勢は市場縮小に歯止めをかけることができなかった。その反動と収益性重視の経営方針もあり08年上期は、各社とも新製品発売に慎重になっている。 しかし折からの原材料価格の高騰もあり、大手ビール会社は08年2月から順次、ビール系飲料の出荷価格を値上げしている。この影響を受け、08年4月のビール系飲料の出荷数量は、4月としては過去最低となるなど、長期低迷に拍車がかかっている。この状況を打破する新ブランドの登場が期待される。
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