2010年、印象に残ったもの | ||
-消費低迷下の小粒なヒット商品 | ||
2010年とはどんな1年だったのか。「トピックス」「人物」「歌」「商品」の四つのランキングからみていく。印象に残ったトピックス2010年、最も印象に残ったトピックスのトップは、「尖閣諸島 中国船衝突と動画流出」が約4割で、2位以下を大きく引き離した。9月7日、尖閣諸島沖での中国の漁業監視船と海上保安庁の巡視船の衝突に端を発するこの事件は、10位の「日中関係の悪化」にもつながり、日本の領土問題と隣国との関係を改めてクローズアップさせる出来事であった。また11月にはこの事件のビデオ映像がYouTubeに流出し、ネット上で拡散した。ネット時代の情報管理のあり方についても問われるできごとといえる。また政治関連では、4位「民主党の支持低下、政治問題」、6位「菅内閣誕生」、8位「政権交代」があがった。スポーツ関係では、2位「サッカーW杯 南アフリカ大会」(6-7月)、9位「バンクーバーオリンピック」(2月)があがった。日本勢の活躍はもちろんだが、一方で世界の壁を感じさせるイベントであったともいえる。 印象に残った有名人トップ「菅直人首相」を筆頭に、6位「小沢一郎」、9位「仙谷由人」、10位「鳩山由紀夫」と政権与党・民主党の首脳が4人ランクインした。トピックスにもあるように、政権交代後の政策運営の評価からも"悪い意味"でのランクインである。NHK大河ドラマ「龍馬伝」で主人公を演じた福山雅治が、番組のヒットも追い風となって、僅差の2位となった。3位には今や国民的なアイドルグループとなった「AKB48」が、また異色のタレントとして、4位に「マツコ・デラックス」、7位「渡部陽一」がはいった。一方、スポーツ選手では、5位「石川遼」、8位「イチロー」がランクインしたが、2010年のスポーツビッグイベントであった、サッカーW杯や冬季オリンピック関係の選手は入らなかった。 突出した時代の象徴たる人物が現れずに、テレビなどのメディアへの露出が多い政治家やタレント、スポーツ選手が上位を占めた2010年であった。 印象に残った歌トップの「ありがとう」(いきものがかり)は、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)『ゲゲゲの女房』の主題歌であり、ドラマのヒットも追い風となった。2位「また君に恋してる」(坂本冬美)は、2007年に発売されたビリー・バンバンのカバーバージョンである。坂本冬美バージョンは2009年に発売され、その年末の日本レコード大賞で優秀作品賞を受賞し、NHK紅白歌合戦を機に、オリコンチャート(CD)もベスト10に入り、また日本唯一の音楽配信オフィシャルチャート「RIAJ有料音楽配信チャート」では1位を獲得している。以前は、有線のリクエストランキングがヒット曲を測るひとつのバロメーターであったが、そこに音楽配信が加わる転換期であるといえる。トップ10のうち3曲ランクインしたのはAKB48である。1980年代後半のおニャン子クラブ、1990年代後半のモーニング娘。に続いて大きなムーブメントを引き起こしている女性アイドルグループは、これまでの2グループがTVをベースに短期間でスターダムを確立したのに対し、AKB48は劇場「=ライブ」をベースに時間をかけて(2005年誕生)としているのが大きな違いである。 ちなみに、オリコンの年間チャートのベスト10はAKB48がトップ2など4曲、嵐が残り6曲を占めるというこれまでにない結果となっている。また有効回答者ベースは316人と、全体回収(1,047人)の3割にとどまり、年々減少している。 話題になった商品ヒット商品は「食べるラー油」が46%とダントツのトップであった、日経トレンディなど情報誌やテレビ番組が選定する「2010年ヒット商品」でもほぼトップクラスにあげられている。今回のランキングではデジタル家電製品が上位を占めていることが特徴的である。iPad、iPhone4、スマートフォン、3Dテレビ、ホームベーカリー「GOPAN」、薄型テレビ/液晶テレビといった製品は家電エコポイントの影響だけでなく、景気低迷が長期化して閉塞感が漂う中、楽しい生活を演出する製品として支持が高かったと思われる。 6位「プリウス」、10位「ハイブリッド車/エコカー」はエコカー減税の効果も背景としてあるが、減税後は前年比で大幅なマイナスが続くなど反動が早くも現れている。しかし「食べるラー油」の市場規模は前年比で10倍以上とはいえ、最大でも150億円に過ぎない。消費全体に占めるインパクトとしては極めて小さく、2010年のヒット商品は小粒であったといえる。 | ||||
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