半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2011.12)
消費者調査 番外編 2011年、印象に残ったもの
「東日本大震災」「マルモのおきて」「スマートフォン」...2011年はどんな年だったか
 2011年とはどんな1年だったのか。「トピックス」「人物」「歌」「商品」の四つのランキングからみていく。

印象に残ったトピックス
 2011年、最も印象に残ったトピックスは、3.11の「東日本大震災」が圧倒的で、有効回答者の実に8割が挙げている。さらに、3位に「福島第一原子力発電所事故」、4位には「震災と原発事故」の組み合わせで、これらを合計すると87.6%と実に約9割に及ぶ。死者・行方不明1万9,000人超の未曾有の大震災は、被災地だけでなく日本全体に大きな爪痕を残したといえる。この体験が今後の価値観や生活を変えていくと思われる。
 震災関連以外では、「なでしこジャパン ワールドカップ優勝」が2位に挙げあげられている。男女通じて初めてのワールドカップ優勝という快挙はもちろん、準々決勝で2大会連続優勝のドイツを延長戦で、決勝ではこれまで勝ったことがないアメリカに二度の劣勢を追いついた末のPK戦勝利は、「あきらめない」という強い気持ち持つことの大事さを再認識させられた。震災後の先行き不透明な生活が続く中、希望と勇気を与えるひとつの復興に向けたシンボルともいえる。


印象に残った有名人
 トップは「マルモのおきて」(フジテレビ系)でゴールデン帯の連続ドラマ史上最年少主演となった「芦田愛菜」、2位はなでしこジャパンの「澤穂希」と、女性が1・2フィニッシュとなった。活躍するフィールドも年代も異なる2人ではあるが、震災後の沈みがちな日常の中、多くのメディアにも露出し、震災の痛みを和らげるような明るい材料を提供したということが強く印象に残ったと思われる。
 3位、4位は、「菅元直人」、「野田佳彦」の前・現総理大臣がランクインしたが、こちらも東日本大震災やその後の復興対応や政治運営のまずさを指摘する声とともに挙げられており、マイナスの意味で「印象に残ってしまった」といえるだろう。
 またここ3年程の特徴として、芸人が上位にあがってこないことが挙げられる。テレビのバラエティ番組が多いと言われる中、いわゆる「一発屋」とも呼ばれ、一世を風靡するようなムーブメントを起こすようなパワーを持つ芸人が2008年以前はあった(小島よしお、レイザーラモンHGなど)。この3年はポジティブ面ではスポーツ選手、ネガティブ面は政治家というような傾向が続いている。

印象に残った歌
 トップは有名人トップの芦田愛菜が主演した「マルモのおきて」の主題歌「マル・マル・モリ・モリ!」(薫と友樹、たまにムック。)で、有効回答中で4割が挙げている。ユニット名はドラマ中の役名から命名、またムックはドラマに登場する犬の名前で、「子どもと動物」というヒットの要素を組み合わせもあり、大きなインパクトを残した。
 2011年もミリオンヒットを連発したAKB48は、5曲をランクインさせている。また、震災関連ということでは、「上を向いて歩こう」(3位)は、震災後にサントリーがCM出演者のメドレーという形で、復旧-復興に向けたメッセージとして高い支持を得た。「あいさつの魔法」(4位)も企業CMが自粛される中、ACジャパンのCMで頻繁に流されたことが強く印象に残っている。さらに「トイレの神様」「ふるさと」「家族になろうよ」などは震災によって改めて強く意識された「家族・故郷・日本」を象徴する歌であるといえる。

2011年のヒット商品

 2011年のヒット商品は、携帯端末と節電関連商品が上位に挙がった。
 「スマートフォン」で2010年の6%から19ポイントの大幅アップで首位となった。特に10月14日に発売された「iPhone 4S」は、2010年の「iPhone 4」の7%から倍増の14%で2位、「iPad iPad2」も4位にランクインするなど、スマートフォンやタブレット端末の本格普及が始まった年を象徴する結果となった。
 もう一方の節電関連商品としては、3位に「扇風機」、4位にずばり「節電商品」、7位に「LED電球」など、2011年の「暗くて暑い夏」を乗り切る助けとなった商品群が挙げられ、冬場商品としても「ヒートテック・保温系衣料」が挙がっている。
 6位は放射線量を測定する「ガイガーカウンタ」。また「防災グッズ」「ミネラルウォーター」「乾電池・蓄電池」など災害と原発事故対策のグッズが挙げられるように、ここでも3.11のインパクトを色濃く反映している。

 2011年は直接的にも間接的にも「3.11」を契機にひとつの生活転換があったことを反映するようなランキングとなった。まだ被災地では復興の途上にあり、また原発被害は不透明なまま長期化していくような様相である。2012年はこうした閉塞した空気の現状を打破するようなヒット商品や話題を期待したい。 


【調査設計】
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2011年11月16日~18日
調査対象者:当社インターネットモニター 20歳~69歳
        全国の男女個人
有効回収サンプル数:1,024サンプル
サンプル構成(%)



 本コンテンツのグラフは無料会員サービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧には会員サービスへのご登録が必要です。

会員サービスのご案内についてはこちらをご覧ください。
会員の方は、下記をクリックしてグラフをご利用ください。






新着記事

2024.11.20

24年9月の「旅行業者取扱高」は19年比で75%に

2024.11.19

24年10月の「景気の先行き判断」は2ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.11.19

24年10月の「景気の現状判断」は8ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.11.18

企業活動分析 アルファベット(グーグル)の23年12月期は、グーグルサービスがけん引し売上過去最高を更新

2024.11.18

企業活動分析 アマゾンの23年12月期はAWSがけん引し営業利益前年比3倍へ

2024.11.15

24年9月の「現金給与総額」は33ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.11.14

24年9月の「消費支出」は5ヶ月連続のマイナスに

2024.11.14

24年9月の「家計収入」は5ヶ月ぶりのマイナス

2024.11.13

24年9月は「完全失業率」、「有効求人倍率」とも改善

2024.11.12

企業活動分析 ローソンの23年2月期は、「地域密着×個客・個店主義」徹底し増収増益

2024.11.12

企業活動分析 セブン&アイHDの24年2月期は海外事業の影響で減収も過去最高益を更新

2024.11.11

24年10月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のプラス

2024.11.08

消費者調査データ No.416 レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア

2024.11.07

企業活動分析 楽天グループの23年12月期は27期連続増収も、モバイルへの投資で4期連続の赤字

2024.11.07

24年9月の「新設住宅着工戸数」は5ヶ月連続のマイナス

2024.11.06

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向

2024.11.05

企業活動分析 ファンケルの24年3月期算は国内売上がけん引し、3期ぶりの増収増益へ

2024.11.05

企業活動分析 コーセーの23年12月期は、国内好調も中国事業低迷で増収減益に

2024.11.01

成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場(2024年)

2024.10.31

月例消費レポート 2024年10月号 消費は緩やかな改善が続いている-政治が消費回復のリスクに

2024.10.31

消費からみた景気指標 24年8月は6項目が改善

週間アクセスランキング

1位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

2位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

3位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

4位 2024.02.02

成長市場を探せ コロナ禍乗り越え再び拡大するチョコレート市場(2024年)

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area