消費者調査 番外編 J-marketing.net的2013年のヒット商品 | ||
2013年、印象に残ったもの | ||
久しぶりともいえる「景気上昇局面」にある日本経済。こうした時代の空気を反映した生活者の印象に残る「出来事」「人物」「歌」「商品」という四つの切り口から、J-marketing.net的に整理する。なお、回答はすべて「自由記述」で、ひとりが複数回答している場合もある。印象に残った出来事1位は有効回答ベース(以下、同様)で34%を集めた「2020年東京オリンピック開催決定」である。1964年以来2回目の開催となるが、「当時の高度経済成長を再び!」というような期待感の大きさがうかがえる。福島原発対応や東京への一極集中など懸念材料も多いが、表面的な経済活性はもちろん、国民のマインドアップ効果が大きい。さらにスポーツ関連では、3位に記憶に新しい「東北楽天ゴールデンイーグルスの球団創設8年目にしての優勝」、そして14位にその立役者となった「田中将大投手のレギュラーシーズン24連勝(0敗)」があげられた。「サッカーのブラジル・ワールドカップ出場」は決定が6月で、また5大会連続ということもあり、20位にとどまった。2014年の本戦では世界を驚かせるような活躍で上位にあがることを期待したい。 2位には「大島とフィリピンの台風被害」、6位には「猛暑/異常気象」と気象に関するものが上位にあがった。異常気象は世界でも確実に増加しており、今後もこうした気象とどう向き合っていくかが、日本だけでなく世界共通の課題となる。 印象に残った有名人1位は、俳優の「堺雅人」、言わずと知れたTBS系ドラマ「半沢直樹」効果である。2位以下を10ポイント以上引き離しているのは、半沢直樹はもちろんだが、その後のドラマ主演やCMでの露出急増も大きく寄与している。例年この部門は2位以下が一桁で分散する傾向があるが、2位の「田中将大」が13%、3位から5位までは9%台となった。3位「能年玲奈」は、高視聴率を記録したNHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」のヒロインとして一躍ブレイクを果たした。4位には「今でしょ!」で時の人となった予備校「東進ハイスクール」の「林修」で、今や芸能事務所に所属するほどの売れっ子タレントでもある。 5位は内閣総理大臣の「安倍晋三」で、出来事で4位に入った「アベノミクス」とともに、政権1年目を乗り切った。消費増税という支持率低下の懸念材料はあったが、年間通じた「消費回復」ムードの中、安定した政権運営や「東京オリンピック招致」にも貢献したリーダーシップも評価されたと思われる。 印象に残った歌1位はAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」。この曲はミリオンセラーにもなったヒット曲だが、特徴的なのはダンスの仕掛けである。「日本中からいろんな人々をパレードの参加者として募って、踊りながら行進する」という一般参加型のプロモーションは、YouTubeの公式チャンネルに様々な企業や団体がアップして、それが驚異的なアクセスを稼ぐこととなり、ネットの特性とうまく融合したという点で注目される。そして2位と3位には「あまちゃん」からのランクイン。2位「潮騒のメモリー」はドラマのストーリーラインで登場する楽曲だが、その設定などが加味されることで話題となった。3位「あまちゃんのテーマ曲」は、インストゥルメンタルで歌ではないテーマ曲だが、そのテンポの良さが耳に残り、毎日聴いても飽きず、思わず口ずさんでしまう・・・ということで印象に残ったと思われる。 2013年のヒット商品Apple「iPhone」は2012年に続いてのトップ。2008年の発売以来代を重ねているが、毎年上位に顔を出している。当初の先進的なイメージは薄れているが、多くのスマートフォンが登場する中、単独ブランドとしては圧倒的なパワーを維持している。2013年9月に発売された最新モデルの「iPhone 5s/5c」は国内トップキャリアのNTTドコモからも発売され、国内の携帯電話大手三社全てがiPhoneを取り扱うこととなったのも話題となった。6位に「スマートフォン」、7位にも「タブレット」というように、携帯端末はもはや我々の生活の中で定番化してきているといっても過言ではない。2位と3位は2013年のランキングを象徴するように「あまちゃん」「半沢直樹」が入った。インターネットなどメディアが多様化し、余暇・レジャーの選択肢も増える中での高視聴率は、テレビ(ドラマ)の底力を再認識させられたといえる。 4位 フィリップス「ノンフライヤー」、9位 レイコップ「ふとんクリーナー」、13位 iRobot「ルンバ」と生活家電も渋くランクインしている。ルンバはロングセラー商品になりつつあるが、家電商品が全般的に普及率飽和状態で元気がない中で、こうしたヒット商品を出せる余地があることを証明している。ルンバは英国、ノンフライヤーはオランダ、レイコップは韓国というように、国内家電メーカーの「ものづくり」にも期待したい。 5位「コンビニコーヒー」は、セブン-イレブン・ジャパンの「セブンカフェ」のヒットが大きい(参照:戦略ケース 2013年9月13日号 コンビニコーヒーはCVS競争の新ステージの幕開け)。業界では最後発ながら2013年1月から9月までに累計2億杯を販売。年間販売目標は4億5,000杯なので、レギュラー100円として最低でも450億円以上の売上となる。長期的に縮小市場であった国内のコーヒー消費量が、1-8月期で前年同期比6%増となったことからも、そのインパクトは大きい。また市場拡大に寄与する一方、「100円コーヒー」で先行していた日本マクドナルドには大きな脅威となっている。最近では「すき家」や「くら寿司」でもコーヒーを提供するなど、ボーダレス競争が激化している。 以上のランキングを通して2013年を総括すると三つある。
2013年に回復に転じた消費は、2014年も引き続き上昇することが予想される。久しぶりの景気上昇局面で、百貨店などの高額商品販売が好調なことを捉えて「バブル」の再現ともいわれるが、長期にわたる不況期を通過し、生活条件の多くが異なる中、新しい消費が生まれていくであろう。
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