近年、食酢市場では、水などで割ったりそのまま飲んだりする酢飲料が伸びており、飲用市場が調理用を上回りつつある。そこで今回は飲用酢に着目して、どのような人がどのような目的で飲んでいるのか調べた。
まず、飲用酢を飲んだことがある人は全体の5割だった。最近3か月以内に飲用酢を飲んだ人は全体の約33%だった。様々な属性や美容・健康意識で分析を行ったところ、生活レベルが中の上以上の人、「話題の美容法を試す」「美容にお金をかける」「生活習慣病の予防を意識する」といった意識の高い人ほど飲用率がより高い傾向がみられた(図表1)。性別・年代別では、男性20代の飲用率が最も高く、約48%だった。次いで、男性30代、女性50代が他の人と比べて高かった(図表2)。
美容意識をみると、意外にも「話題の美容法を試す」人は、男性20代・30代では3割を超えており、若い男性の間で飲用酢がよく飲まれている背景にはこうした美容意識があると考えられる(図表3)。
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次に飲用酢の商品の認知浸透状況をみていく。 まず、認知率ではCJフーズジャパンの「美酢(ミチョ)希釈タイプ」とミツカンの「りんご黒酢 ストレートタイプ」が約42%で同率1位となった。
「美酢 希釈タイプ」は飲用経験率、3か月内飲用率でも1位となっている。特に3か月内飲用率は13.1%で、2位の「はちみつ黒酢ダイエット」の2倍以上となっており、他の商品と大きく差をつけている。「はちみつ黒酢ダイエット」は飲用経験率が19.5%、3か月内飲用率が6.4%だった。
飲用意向率をみても、上位商品の顔ぶれは変わらず「美酢 希釈タイプ」が約26%、「りんご黒酢 希釈タイプ」と「はちみつ黒酢ダイエット」が約16%となっている。
現在飲用者の飲用意向でも、「美酢 希釈タイプ」は90%を超える非常に高い歩留まりとなった。「りんご黒酢 希釈タイプ」と「はちみつ黒酢ダイエット」でも8割強、その他の商品でも7割~9割の継続飲用意向を示している。このことから、飲用酢の商品では全体的に継続飲用意向が高いことがうかがえる(図表4)。
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ここでは、飲用酢の利用実態をみていく。飲用酢を飲み始めた時期は2~5年前が最も多く4割近くにのぼる。一方で11年以上前に飲み始めた人も3割いる。飲用頻度をみると、3か月内に飲用経験がある人のうち、週1日以上飲用している人は7割を超える。週4日以上飲用では約35%と飲用習慣が定着していることがうかがえる(図表5)。
飲み始めたきっかけとしては、「家族や友人に勧められて」「テレビなどの番組やCMを見て」が上位にあがった(図表6)。また、飲用方法では、水や炭酸水で割る方法がよく用いられている(図表7)。
飲用理由では、「健康に良いから」が最も多かった。他には「美味しいから」「生活習慣病を予防したいから」という理由も多かった。3か月内飲用率の高い性別年代に着目すると、女性50代・60代は特に健康目的で飲用していることがわかった。一方、男性20代では生活習慣病の予防、男性30代では美容を目的としている人が多かった(図表8)。
飲用者は飲用酢のさまざまな健康効果を認識しており、「疲労回復」「腸内環境」「血液サラサラ」の効果を期待する人が多かった。男性30代では「腸内環境」、女性50代・60代では「疲労回復」「免疫力」の効果を特に期待していた(図表9)。
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最後に、飲用酢の今後について考えていく。まず、昨年と比較して飲用頻度が増えた人は約4割となっており、今後の飲用頻度を増やしたいと感じている人も5割強にのぼる(図表10)。性別・年代別では、男性40代・20代、女性50代の順に高く(図表11)、これらの層を中心に既存ユーザーの飲用酢利用はさらに拡大していくだろう。
では、市場全体ではどうだろうか。3か月以内に飲用がある人とない人の飲用意向をみると、現在飲用者で意向なしの人は4.3%、非飲用者で意向ありの人は20.7%だった(図表12)。このことから、既存ユーザーの離脱を上回る新規ユーザーの飲用が見込めるため、市場は拡大していくと考えられる。非飲用者では特に女性30代・40代・60代で飲用意向が高くなっていた(図表13)。
また、飲用酢が健康目的で飲まれていたように、高血糖、高コレステロールといった症状がある人ほど、飲用意向が高い結果になった(図表14)。非飲用者にとっても、こうした症状を改善できる飲用酢の効果は魅力的に感じられている(図表15)。これらのことから、健康目的の新規ユーザーを獲得しながら飲用酢はさらに伸長していくのではないかと推察する。
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- 美容意識の高い若い男性にも飲まれる飲用酢
- 高い認知率と飲用経験率を誇る「美酢」
- 健康習慣として定着している飲用酢
- 新規ユーザーにも魅力的な飲用酢の健康効果、市場は伸長が見込める
* 業界クリップ 2022年8月(全7頁)
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