酒類メーカー各社が新商品を相次いで投入するなど、ノンアルコール・低アルコール市場は盛り上がりを見せている。今回はノンアルコール飲料や低アルコール飲料を、だれがどのように飲んでいるかについて調べた。
まず飲用頻度を見ると、週に1日以上飲む人は約12%で、月に1日以上を含めると約20%が飲んでいた(図表1)。
飲用頻度の増減をみると、「ノンアル・低アル全体」「自宅」「飲食店」で増えたと答えた人が約3割いる(図表2 )。今後の増減意向においても2割を超える人が「増やしたい」と回答している(図表3)。
アルコール飲料・低アルコール飲料別に見ていくと、月1回以上飲用率はアルコール飲料ではビールがもっとも高く、ノンアル・低アル飲料ではノンアルコールビールがもっとも高かった。もっともよく飲用したものではノンアル・低アル計が11.4%となった。飲用頻度の増加率がもっとも高いのは「ワイン・スパークリングワイン・シャンパンのノンアル飲料」の約34%で、ノンアルビールは約26%であった。今後増やしたいものでは1位がハイボールの低アル飲料、2位はハイボールのノンアル飲料と続いた。またビールの今後「増やしたい」が約11%に対して、ノンアルビールは約21%と上回っている(図表4)。今後もノンアル・低アル市場が伸長する可能性がうかがえる。
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次にだれがノンアル・低アル飲料を飲んでいるかについて見ていく。様々な基本属性別に飲用頻度の違いを比較すると、生活レベル、年収、年代、性別の順で差が大きかった。ノンアル・低アル飲料を週1回以上飲む人は、生活レベルが中の上以上、年収1,000万以上、20代、男性で全体よりも高かった(図表5)。
週1回以上飲む率を健康意識・お酒意識の程度別に見ていくと、飲用頻度の違いは、前述の基本属性以上に健康意識・お酒意識との関連が高かった。「健康に関する情報を見ている」に「そう思う」と答えた人は、週1回以上飲む率が高い。同様に「お酒を楽しみたい」「お酒が好きだ」と回答した人でも、週1回以上飲む率が高くなっている。
属性別に健康意識・お酒意識を見ていく。「健康に関する情報を見ている」「お酒が好きだ」「お酒を楽しみたい」という意識は、いずれも中の上以上の人で高くなっている。また生活レベルが上がるほど、「そう思う」人が増えている(図表6)。
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次にノンアル・低アル飲料の銘柄別認知浸透状況を見てみる。
認知率では「アサヒドライゼロ」(2012年発売)と「サントリーオールフリー」(2010年発売)がほぼ同率で4割を超えていた。3位は「サントリーほろよい」(2009年発売)となった。
3ヶ月以内にもっともよく飲んでいるものでは、1位は「サントリーほろよい」の約26%で、認知率で1位だった「アサヒドライゼロ」を上回った。
今後の飲用意向でも「サントリーほろよい」が1位となり、「アサヒドライゼロ」「サントリーオールフリー」と続いている。3ヶ月以内に飲んだ銘柄について、今後の飲用意向をみると、「サントリーほろよい」の歩留まりが約85%ともっとも高く、3ヶ月以内にもっともよく飲んだ上位銘柄でも概ね8割前後を示していることから、顧客のロイヤリティーの高さがうかがえる。ベースは少ないものの、2位は「コカ・コーラよわない檸檬堂」(2022年発売)、3位は「サントリーからだを想うオールフリー」(2019年発売)となった。新しくロイヤリティーの高い銘柄が登場してきていることがうかがえる(図表7)。
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3ヶ月以内にもっともよく飲んだ銘柄についてその飲用理由をみると、1位は「おいしいから」、2位は「飲みやすいから」、3位が「好きな味だから」であった。提示した19の理由のうち味や香りに関する項目七つのいずれかを選んだ人は8割強と、味や香りによって選ばれている様子がうかがえる(図表8)。
ノンアル・低アル飲料に対する見方を、3ヶ月以内に飲んだ人に着目してみると、「以前よりおいしくなった」が約6割、「お酒の飲めないときに代わりに飲むもの」が約5割など、全体に比べて高い評価となっている。
属性別では、生活レベルが中の上の人が特に評価しているのは「飲めないときに代わりに飲むもの」「ちょうど良いアルコール度数」「ノンアルコールの方がアルコールよりおいしい」だった。また20代では「ちょうど良いアルコール度数」「ノンアルコールの方がアルコール飲料よりおいしい」が高い。生活レベル中の上で高かった「お酒の飲めないときに代わりに飲むもの」が20代で低く、お酒の代替として飲用しているわけではないことがわかる(図表9)。
以上のことから、ノンアル・低アル飲料はお酒の代替としてだけでなく、飲料の新しいジャンルとして若年層を中心に定着していく可能性があるといえるだろう。
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- 伸びるノンアルコール・低アルコール飲料
- 20代、生活レベルが高い人に飲まれているノンアル・低アル飲料
- ロイヤリティーが高い「サントリーほろよい」
- 代替から独自のおいしさへの期待広がるノンアル・低アル飲料
* 業界クリップ 2022年12月(全7頁)
- 消費者の動き 【消費心理が悪化】
- 売れている食品・メニュー 【2022年のヒット商品の総括記事】
- 東京市場 【モスのチーズバーガー専門店】
- 地産地消 【「ビックリマンチョコ」で地域活性化】
- 食品企業の経営 【価格改定が業績に影響】
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- 価格政策 【2023年も値上げ続く】
- プロモーション 【味の素が顧客IDを統一】
- チャネル政策・チャネル動向 【「Qコマース」の対応店舗拡大】
- ヘッドラインクリップ 2022年12月の動向
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参照コンテンツ
- 消費者調査データ ノンアルコール飲料(2022年3月版) 拡大する市場、「オールフリー」「ドライゼロ」認知や飲用経験増加
- 消費者調査データ RTD(2022年2月版) 「氷結」「ほろよい」の2強に「檸檬堂」「贅沢搾り」はどこまで迫るか
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 浸透するプレミアムビール、進むビール市場の分解(2022年)
- 戦略ケース 値上げと小売業の競争 物価上昇で小売とメーカーは新競争時代に突入(2022年)
- プロの視点 イラスト効果で売上130%増の謎を解く―エモーショナルマーケティング (2022年)
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