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公開日:2023年06月02日

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第154号
グミvsガム 話題性のグミ、機能性のガム


本コンテンツは、食生活についての消費者への独自調査をもとに、その分析結果をまとめたオリジナルコンテンツです。有料会員の方は、調査結果の分析パートと、主要各紙から食生活のトレンドを整理した業界クリップの2部構成でお届けするレポート形式のPDFダウンロードがご利用いただけます。


【1】20~30代に食べられるグミと、年代による偏りが少ないガム

 グミ市場ではメーカーが乱立し、次々と新商品が生まれている一方で、食品メーカーの「明治」が23年3月に約55年続いたガム事業から撤退した。そこで、グミとガムは誰にどの様に食べられているかといった観点からそれぞれの違いを調査した。

 まず、グミとガムを食べる頻度についてみてみる(図表1)。グミを食べたことのある経験者は約7割で、ガムは8割弱だった。週1日以上食べる人はグミで1割強、ガムでは2割弱と、ガムの方が食べられる頻度が高い。

 1年前と比較して食べる頻度の増えた計ではグミが高く、ガムより4%ほど上回っている(図表2)。

 ここ1年で月1日以上、それぞれを食べた人を属性別にみてみると、年代、ライフステージ、地域による影響が大きかった(図表3)。グミを食べた人は、年代では20~30代、ライフステージでは子育てといった若い層で多い。また、地域では東京で多い。ガムをみると年代では30代、ライフステージでは男性の既婚子なし、地域では東京で多い。

 グミとガムを比較すると、需要層では一部に違いがみられ、グミの方が20~30代でより食べられていることがわかる。

図表
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【2】嗜好性が重視されるグミと、より機能性が重視されるガム

 次に、最近購入したグミやガムのメーカーについてみていく(図表4)。グミでは明治とカンロが突出して高く、ガムではLOTTEが最も高く他メーカーとの差が大きい。グミとガムを比較すると、グミは全てのメーカーで1割を超えており、幅広いメーカーの商品が購入されている。一方でガムをみると、1割超えはモンデリーズと明治を加えた3社に留まっている。

 商品選択時の重視点をみると最も差が大きいのは「おいしい」で、グミが25%高い。また「噛み応えが好み」でグミが12%高くなっており、様々な噛み応えのあるグミの特徴が表れている。ガムが高い項目では「味が長続き」といったガムの特徴に加え、「いつも買っているものと同じ」といった習慣的に食べられている特徴も表れている(図表5)。

 食べるシーンでは「家でくつろいでいる時」が最も差が大きくグミが約30%高い。差が大きく、ガムが高い項目は「車の運転をする時」「人と会う時」である。グミとガムを比較すると、グミでは嗜好性が重視され、ガムはより機能性が重視されていることがうかがえる(図表6)。

 参考情報源をみると全ての項目でグミが高く、特にSNSなどで高いことから、近年の人気ぶりがうかがえる(図表7)。

図表
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【3】食べた理由は20~30代は嗜好性、50~60代では機能性

 次に、最近購入したメーカーを年代別にみてみる(図表8、9)。グミでは60代で明治が高く、20~30代でカンロやUHA味覚糖が高い。ガムではLOTTEが全ての年代で高い。メーカーごとの顧客層の特徴が出ている。

 グミやガムを食べた理由の上位三つでは、グミは「おいしい」「噛み応え」などの嗜好性、ガムは「口の中がすっきりする」などの機能性で高く、ニーズの違いがうかがえる。また、グミの理由では特に20~30代で嗜好性が高く、ガムの理由では特に50~60代では「口の中がすっきりする」「口臭を防ぐことができる」などの機能性が高い(図表10、11)。

 グミとガムの離脱者を比較してみるとグミでは34.6%、ガムで38.9%と、ガムはグミと比較して離脱者が4.3%高い(図表12)。

 グミとガムに対するマイナスイメージをユーザー別にみると、グミの離脱者で「歯にくっつく」が高く、ガムの離脱者では「紙に包んで捨てるのが面倒」が高くなっており、それぞれのマイナスイメージは大きく異なっている(図表14、15)。

図表
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【4】グミとガムが共存し、ともに伸びていく可能性

 ここ1年で月1日以上グミやガムを食べた人は、年代などのデモグラフィックなデータよりも価値観や意識による影響がより大きかった。そこで、価値観・意識別にみると「話題のもの」「トレンドに敏感」といった情報に敏感な人ほどグミをよく食べている。一方で、「歯の健康」「口臭」を気にしている人ほどガムを食べた人の割合が高い(図表15)。

 年代別に好意度をみると、グミでは20~30代で「非常に好き」が全体と比較して高くなっている(図表16)。

 年代別の今後利用意向では、グミでは20~30代で高く今後も若い年代を中心に需要が拡大していくことが予想される。60代でみるとグミと比較してガムの今後利用意向が高く、ガムの機能性を評価していることがうかがえる(図表17)。

 グミとガムの頻度の増減をクロスしてみてみると、ガムの頻度が減った人のうち、グミの頻度を増やしている人は25%となっているため、ガムからグミに需要がシフトするといった代替関係にはないことがうかがえる。

 グミとガムの特徴や食べている人の背景は異なり、代替関係にはない。グミには話題性や嗜好性、ガムには機能性があり、人々の関心も高いことから、どちらにも今後の成長の余地はあると推察できる(図表18)。

図表
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* オリジナル調査結果の分析 構成(全4頁)
  1. 20~30代に食べられるグミと、年代による偏りが少ないガム
  2. 嗜好性が重視されるグミと、より機能性が重視されるガム
  3. 食べた理由は20~30代は嗜好性、50~60代では機能性
  4. グミとガムが共存し、ともに伸びていく可能性

* 業界クリップ 2023年4月(全7頁)
  1. 消費者の動き        【コロナからの消費回復】
  2. 売れている食品・メニュー  【成長する飲用酢市場】
  3. 東京市場          【東急歌舞伎町タワーが開業】
  4. 地産地消          【コンビニ大手が地域対応を強化】
  5. 食品企業の経営       【ドライバーの「2024年問題」への準備】
  6. 製品開発          【なか卯が親子丼を値下げ】
  7. 価格政策          【卵不足による商品の発売休止】
  8. プロモーション       【「メタバースの販促活用】
  9. チャネル政策・チャネル動向 【ローソンがコーヒーのサブスク実験】
  10. ヘッドラインクリップ    2023年4月の動向



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