動画配信ビジネス、音楽配信ビジネスは、業界団体調べによると、ともに2ケタ成長している。今回はこれらエンタテインメント市場における、サブスクリプションサービスを誰がどのような理由で選んでいるのか調査をおこなった。
まず、自ら進んで動画や音楽を視聴する媒体としては、無料の動画配信サービスが6割を超える結果となった(図表1)。1年内の支出状況をみると、動画配信サービスでは3割、音楽配信サービスでは1割程度の人が支出していた(図表2)。1年前と比較して、今回取り上げた7項目はどれも支出が増加しており、特にダウンロードによる動画・音楽コンテンツ及びコンサート等のチケットは4割を超え、高くなっている。ネットのコンテンツが増加しているだけでなく、ライブをはじめとする興行の回復もみられる(図表3)。
さまざまな基本属性の中で、視聴媒体に特に差があったのは世代で、いわゆるZ世代にあたるリオ世代、ゆとり世代では動画・音楽の定額制サービスの割合が高く、新人類、断層世代では、テレビ・ラジオ放送の割合が高い。この傾向は、男性で強い(図表5)。
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各サブスクサービス別に認知利用状況をみていく。動画サービスにおいて、もっともよく利用されているのはAmazon Prime Video、次いでNetflixとなっている。現在利用率はAmazon Prime VideoがNetflixの約2倍となっている(図表6)。利用頻度の増減をみると、Netflixをはじめとする動画4サービスと音楽サービスのYouTube MusicとSpotifyは増加計が約5割で、増加から減少を引いた純増率も4~5割増加している(図表7)。
次に、動画と音楽それぞれについて属性別の違いをみていく。動画サービスの利用率は全体の40.0%、音楽サービスの利用率は15.9%と、利用率は動画が音楽を大きく上回る。動画・音楽ともに女性より男性が利用しており、リオ世代を筆頭に若い世代の人々がサブスク市場をけん引している。動画サービスでは、男性リオ~団塊ジュニア、女性リオで利用率が高くなっている。音楽サービスでは、男女リオ、男性バブル後、男性団塊ジュニアで利用率が高くなっている(図表8)。
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サブスクサービスを選択した理由をみると、もっとも高いものは、動画・音楽ともに「ラインナップが豊富だったから」で5割程度にのぼる。次いで、共通して「値段が安かったから」「好きなジャンルの動画(楽曲)が豊富だったから」といった項目が上位にあがっている(図表9)。
さらに、世代とサービスごとに比較すると、リオ・ゆとり世代と新人類・断層世代では明らかな差がみられた。動画サービスでは、リオ・ゆとり世代は新人類・断層世代と比較して、先の上位項目(値段が安いを除く)のほか、「オリジナリティがある」「映像・音声などの品質が高い」といった項目も高くなっている。利用率上位2位の動画サービスを比較すると、Netflixは、ラインナップと品質、Amazon Prime Videoは、値段の安さと付随サービスの充実において優位性があることがわかる。音楽サービスでは、新人類世代と比較すると、選択理由においてリオ・ゆとり世代は「値段が安い」が低く、「高音質だった」が高くなる結果となった。利用率の高いサービスでみると、Apple MusicとSpotifyはラインナップの面で他と差が大きく、Spotifyはそれ以外も含め全体的に高い(図表9)。
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動画・音楽サブスクサービス全体を概観すると、いずれかの利用経験率は47.0%、現在利用率は43.3%、今後利用意向率は49.2%である。利用経験から現在利用への減少幅は3.7%であり、現在利用から利用意向への増加幅は5.9%と今後の増加意向が上回っている(図表11)。
サブスクの利用数についても、動画では、1年内の増減の差は+16.0pt、今後意向の増減の差は+13.2ptとなっている。これは、音楽についても同程度の差がみられ、1人あたりの利用数は今後も増えていきそうだ(図表12)。
サブスクサービス別の今後利用意向をみると、現在利用者ベースではほとんどが8~9割と高い。20~69歳の全体ベースでみると、NetflixとAmazon Prime Videoが比較的高くなっている(図表11)。
ここまでみてきたように、エンタテインメントへの支出は増加の傾向にある。そうしたなかでサブスク市場の成長を支えているのは、リオやゆとりといった世代である。そして、彼らはコンテンツの豊富さやオリジナリティを評価する。今後もZ世代を中心に利用者は増加し、サブスク市場は成長を続けると推察される。
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- 伸びるエンタメ消費
- サブスクの利用は若者がけん引
- ラインナップやオリジナリティで選別されるサブスクサービス
- まだまだ伸びるサブスク市場
* 業界クリップ 2023年5月(全6頁)
- 消費者の動き 【消費の回復続く】
- 売れている食品・メニュー 【上半期のヒットの動向】
- 東京市場 【ゴディバ初のベーカリー店】
- 地産地消 【地域の健康課題に密着した取組】
- 食品企業の経営 【海外展開の強化の動き】
- 製品開発 【物価高における商品動向】
- 価格政策 【昨年を上回る値上げの動き】
- プロモーション 【コロナ後の店舗見直し】
- チャネル政策・チャネル動向 【大丸松坂屋の冷凍食品のサブスク】
- ヘッドラインクリップ 2023年6月の動向
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