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公開日:2023年10月04日

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第157号
進む回転寿司のファミレス化 子育て層の9割が回転寿司の今後利用意向あり


本コンテンツは、食生活についての消費者への独自調査をもとに、その分析結果をまとめたオリジナルコンテンツです。有料会員の方は、調査結果の分析パートと、主要各紙から食生活のトレンドを整理した業界クリップの2部構成でお届けするレポート形式のPDFダウンロードがご利用いただけます。


【1】アッパー子育て層に支持される、回転寿司とファミリーレストラン

 外食チェーンの中で「寿司」を中心に展開してきた回転寿司チェーンは、店舗数が増加傾向にあり、減少が止まらないファミリーレストランとは対照的だ。そこで、回転寿司チェーンを中心に誰にどの様に利用されているのかを調査した。

 まず、外食業態別の最近1年以内の来店経験についてみてみる(図表1)。ファミレスは5割を超えており、回転寿司は5割近くと、どちらも他の業態と比較して高い。

 1年前と来店頻度を比較するとどちらも増減率では変わらない結果となった(図表2)。

 ここ1年以内に来店した人の割合を属性別にみてみると、ライフステージや階層意識による影響が大きかった(図表3)。回転寿司チェーンとファミレスでは月1日以上の来店率は同程度であった。属性別にみると、ライフステージでは既婚子育て、階層意識別では高い人の来店頻度が回転寿司でもファミレスでも高い。

 このことから、様々な外食チェーン業態の中で回転寿司チェーンとファミレスの客層は同じ特徴を持っていることがわかった。

図表
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【2】回転寿司チェーン内で進むロイヤリティ格差、高いローカル

 次に、利用経験者ベースで外食業態別の今後利用意向についてみていく(図表4)。大手回転寿司チェーンが7割を超えておりもっとも高く、ファミレスがそれに続く。大手回転寿司チェーンとファミレスについて属性別にみていくと、来店頻度の高い、既婚子育てや階層意識が高い層で、回転寿司ではどちらも全体より5%以上高く、特に子育て層では9割を超えていた。一方、ファミレスでは同様の層が他の層と比較して利用意向は高くなっているが、大手回転寿司チェーンと比較すると高くない。ここから、高頻度で利用しているそれらの層の意向には違いがあることがわかった。

 チェーン別の利用経験者では「ガスト」と「サイゼリヤ」が多く、回転寿司では「スシロー」や「くら寿司」が多い(図表5)。

 各チェーンの利用経験者の中でそのチェーンへの今後利用意向(ロイヤリティ)がある人の割合は、「回転寿司トリトン」や「うまい鮨勘」などのローカル回転寿司チェーンは7割近い。大手回転寿司チェーンでは5割を超えているチェーンがある一方で、3割台のチェーンも存在しているため、大手回転寿司チェーン内でも格差があることがうかがえる。ファミレスで5割を超えているのは「サイゼリヤ」のみであった。

 ロイヤリティでは全体的に回転寿司チェーンがファミレスを上回っていた。

図表
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【3】メニューの幅が広い大手回転寿司チェーン

 それぞれのチェーン店にもっとも最近行った人の、その際の利用の仕方についてみてみる。

 3人以上での利用割合で回転寿司チェーンは5割を超え、他業態と比較して利用人数が多いことがわかる(図表6)。

 平均滞在時間では、ローカル回転寿司チェーンが約80分で他の業態と比較してもっとも長い(図表7)。

 1人当たりの平均支払価格では、業態間で大きな差があり、ローカル回転寿司では3,000円、大手回転寿司でも2,000円を超えており、他業態と比較して高額になっている(図表8)。

 2人以上で利用した人の同伴者をみると、大手回転寿司チェーンでは配偶者や子どもなどの家族との利用率が高く、ファミレスでは友人で高いため、利用層の属性は似ているが誰と利用しているかでは違いがあることがわかった(図表9)。

 それぞれの業態の注文商品TOP5をみてみる(図表10)。まず平均注文数でみると大手回転寿司がもっとも多く、寿司以外にもデザートや麺類などが頻繁に注文されているためメニューの幅の広さがうかがえる。ローカル回転寿司ではアルコール飲料が多く、平均滞在時間の長さに影響を与えていると推察できる。

図表
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【4】共生していく大手とローカル回転寿司チェーン

 利用理由では大手・ローカル回転寿司チェーンは「おいしいから」がもっとも高い一方で、ファミレスは値段が安いことがもっとも高い理由である。ローカルでは「贅沢がしたいから」で高く、ローカルと大手の特徴の違いが表れている(図表11)。

 業態別の評価では直近利用時の満足度で回転寿司チェーンがどちらも8割を超えており、「行くとワクワクする」「子どもから大人までみんなで楽しめる」でも回転寿司チェーンが高く、来店すると楽しいといったイメージがもたれている(図表12)。

 ここまでみてきたように、大手とローカルにはロイヤリティや価格などの違いがあり、評価にも違いがありそうだ。

 最後にそれぞれの利用意向の背景にはどのような意識があるのか、特に差の大きいものについてみてみる(図表13)。差の大きい上位でみると、それぞれで期待されているものは異なっている。大手では利他的で社交的な人ほど今後の利用意向が高い一方で、ローカルでは魚への意識や、健康志向の高い人ほど今後利用意向が高いことがわかった。

 以上より、回転寿司は客層、大人数や家族での利用、メニューの幅などでファミレス化が進んでおり、ロイヤリティにおいてはファミレスを上回っていることがわかった。しかし、その回転寿司の中で大手とローカルでは利用意向の背景にある意識や、持っている特徴は異なっているため、どちらも回転寿司業界の中で共生していくと推察される。

図表
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* オリジナル調査結果の分析 構成(全4頁)
  1. アッパー子育て層に支持される、回転寿司とファミリーレストラン
  2. 回転寿司チェーン内で進むロイヤリティ格差、高いローカル
  3. メニューの幅が広い大手回転寿司チェーン
  4. 共生していく大手とローカル回転寿司チェーン

* 業界クリップ 2023年8月(全6頁)
  1. 消費者の動き        【お盆の人流が大きく回復】
  2. 売れている食品・メニュー  【規格外野菜や未利用魚の活用】
  3. 東京市場          【クリスピー・クリーム・ドーナツの旗艦店が1周年】
  4. 地産地消          【広島で「レモンアユ」が出荷】
  5. 食品企業の経営       【物流で協業の動きが拡大】
  6. 製品開発          【吉野家の親子丼が復活】
  7. 価格政策          【値下げキャンペーンが目立つ】
  8. プロモーション       【夏休みの工場見学が活況】
  9. チャネル政策・チャネル動向 【西武・そごうの売却】
  10. ヘッドラインクリップ    8月の動向



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