半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2023年12月05日

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第159号
成長するコーヒー市場 6つの形態が店頭に共存するワケとは?


本コンテンツは、食生活についての消費者への独自調査をもとに、その分析結果をまとめたオリジナルコンテンツです。有料会員の方は、調査結果の分析パートと、主要各紙から食生活のトレンドを整理した業界クリップの2部構成でお届けするレポート形式のPDFダウンロードがご利用いただけます。


【1】伸長するコーヒー市場

 コーヒーの国内消費量は、2022年に4年ぶりの増加に転じた。最近では大手コンビニエンスストアがコーヒーのサブスクサービスを実験的に導入する動きがみられる。今回はコンビニを中心にコーヒーがどのように買われているのか調査をおこなった。

 まず、コーヒー全般について、最近3ヶ月以内の飲用頻度は「ほぼ毎日」が53.3%と半数にのぼり(図表1)、7割が「好き」という結果になった(図表3)。また、1年前と飲用頻度を比較すると、増加が25%、減少が5%とコーヒー市場が成長していることが確認できた(図表2)。

 さまざまな基本属性のなかで、飲用頻度に特に差があったのは性別年代と職種で、「ほぼ毎日」が男女60代で7割超、男性40-50代、管理職と営業で約6割に達する。また飲用頻度の増加率では、男女20-30代が4割と若者の伸長が目立つ。コーヒーを飲み始めてから、年齢を重ねるごとに徐々に飲用が習慣化していく様子がうかがえる(図表5)。

図表
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください


【2】性別年代と職種に左右されるコーヒーチャネル

 移動中・外出先でのコーヒー飲料の購入場所をみていく。最近3ヶ月以内に利用した場所については、コンビニが33.2%ともっとも高い(図表6)。利用頻度の増減については、SA・PAの売店が増加から減少を引いた純増率で2割を超えるなど、いずれのチャネルも増加の動きがみられる(図表7)。

 次に、購入場所の上位三つについてそれぞれ属性別の違いをみていく。週3日以上の利用は、コンビニで13.4%、食品スーパーで8.4%、チェーン店でのテイクアウトで5.1%となっている。そのなかでコンビニでは、管理職をはじめ男性20-50代、保安・運輸が高い。食品スーパーでは女性20-30代が高く、コーヒーチェーン店は、女性20-30代をはじめ管理職、営業が高い(図表8)。

 このことから、コーヒーはチャネルごとに利用者の属性が異なっていると考えられる。特に、職種との関連がある点については、大きな特徴と言える。

図表
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください


【3】形態によって異なるヘビーユーザー

 ここからはコンビニでのコーヒー購入に焦点を絞り、商品の形態による違いをみていく。もっとも最近購入したコーヒーは、セルフ式いれたて(以下セルフ式)が49.2%と半数近く、ペットボトル、缶と続く(図表9)。評価については「非常に満足」だけでみると、チルドカップとセルフ式が3割を超え、「満足」の合計では缶を除く全ての形態で8割を超えており、満足度は高い(図表10)。続いて週3日以上購入している人について、全体より高い特徴的な属性をみていく。性別年代では、男性20-30代がセルフ式、ペットボトルで高く、女性20-30代がチルドカップ、紙パックで高い。職種では、管理職が形態を問わず高く、営業と保安・運輸についてはセルフ式、ペットボトルなどで高い(図表11)。コーヒーのなかでも形態ごとにヘビーユーザーが異なることがわかる。

 次に、購入重視点をみていく。共通して味と価格が上位ふたつにあがり、セルフ式については価格の重視度がもっとも高くなっている。また、他の形態と比較して、ペットボトルは「持ち歩きやすさ」、ボトル缶は「容量」「持ち歩きやすさ」「時間を空けても飲める」ことが重視されていることがうかがえる(図表12)。

図表
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください


【4】 惣菜の購入がチャネルの今後利用意向に影響を与える

 コンビニでのコーヒー選択における事前決定をみると、味の種類についてはいつも・ほとんど同じが81.8%、ブランドについてはいつも同じ・いくつか候補ありが77.6%といずれも8割前後と高い。また、コンビニ利用者のうち、2割を超える人が10年以上利用しているブランドがあり、缶とボトル缶ユーザーは3割を超えている(図表13)。このことから、コーヒーは事前決定度が高く、ブランドへのロイヤリティが高いと言える。次に、今後の利用意向をみていく。購入場所についてはコンビニ、コーヒーチェーン店が高く、図表6の現在利用率を上回っている(図表14)。コンビニにおけるコーヒーの形態についてはセルフ式がもっとも高く、いずれの形態も3ヶ月内購入率を上回っている(図表15)。

 コンビニのサブスクサービスについてみると、認知率は24.1%で、月額2,000円での利用意向は17.8%、1,500円で31.0%となっている(図表16)。

 ここまでみてきたように、コーヒーの市場は伸びており、今後の成長も期待できる。そして、形態が多様化するなかで各々を支持する属性の存在が明らかになった。コンビニにとってコーヒーはこれからも重要な商材になるだろう。

図表
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください


レポートダウンロード

レポートのPDFダウンロードには有料の会員登録が必要です。


* オリジナル調査結果の分析 構成(全4頁)
  1. 伸長するコーヒー市場
  2. 性別年代と職種に左右されるコーヒーチャネル
  3. 形態によって異なるヘビーユーザー
  4. ブランドロイヤリティが高いコーヒー

* 業界クリップ 2023年10月(全6頁)
  1. 消費者の動き        【消費心理の踊り場続く】
  2. 売れている食品・メニュー  【日清の「完全メシ」が販売好調】
  3. 東京市場          【渋谷区がハロウィーン規制を強化】
  4. 地産地消          【「燕三条鉄」シリーズの展開】
  5. 食品企業の経営       【日本大豆ミート協会が発足】
  6. 製品開発          【イクラ風の商品「みらいくら」】
  7. 価格政策          【「値上げ疲れ」が続く】
  8. プロモーション       【伊藤園がAIタレントを活用】
  9. チャネル政策・チャネル動向 【物価高でPBが好調】
  10. ヘッドラインクリップ    10月の動向



最新バックナンバー


参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


新着記事

2024.11.20

24年9月の「旅行業者取扱高」は19年比で75%に

2024.11.19

24年10月の「景気の先行き判断」は2ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.11.19

24年10月の「景気の現状判断」は8ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.11.18

企業活動分析 アルファベット(グーグル)の23年12月期は、グーグルサービスがけん引し売上過去最高を更新

2024.11.18

企業活動分析 アマゾンの23年12月期はAWSがけん引し営業利益前年比3倍へ

2024.11.15

24年9月の「現金給与総額」は33ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.11.14

24年9月の「消費支出」は5ヶ月連続のマイナスに

2024.11.14

24年9月の「家計収入」は5ヶ月ぶりのマイナス

2024.11.13

24年9月は「完全失業率」、「有効求人倍率」とも改善

2024.11.12

企業活動分析 ローソンの23年2月期は、「地域密着×個客・個店主義」徹底し増収増益

2024.11.12

企業活動分析 セブン&アイHDの24年2月期は海外事業の影響で減収も過去最高益を更新

2024.11.11

24年10月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のプラス

2024.11.08

消費者調査データ No.416 レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア

2024.11.07

企業活動分析 楽天グループの23年12月期は27期連続増収も、モバイルへの投資で4期連続の赤字

2024.11.07

24年9月の「新設住宅着工戸数」は5ヶ月連続のマイナス

2024.11.06

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向

2024.11.05

企業活動分析 ファンケルの24年3月期算は国内売上がけん引し、3期ぶりの増収増益へ

2024.11.05

企業活動分析 コーセーの23年12月期は、国内好調も中国事業低迷で増収減益に

2024.11.01

成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場(2024年)

2024.10.31

月例消費レポート 2024年10月号 消費は緩やかな改善が続いている-政治が消費回復のリスクに

2024.10.31

消費からみた景気指標 24年8月は6項目が改善

週間アクセスランキング

1位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

2位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

3位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

4位 2024.02.02

成長市場を探せ コロナ禍乗り越え再び拡大するチョコレート市場(2024年)

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area