日経平均株価がバブル以来約34年ぶりの高値を付けるなど、2024年1月から開始された新NISAが注目されている。
そこで、新NISAは誰にどのような背景で利用されているのか、今後どのような層に広がっていくかを調査した。
まず、新NISAの認知率をみると認知は5割近くとなっていた(図表1)。
自分の老後資金については約6割が不安に感じており(図表2)、老後の資産形成は自分で主体的に行わなければならないという意識を5割以上が持っている(図表3)。
投資手段別に関心度をみてみる(図表6)。新NISAへの関心は約3割ともっとも高く、現在利用率は約2割、今後利用意向は約3割となっており、今後も利用者が増加する可能性がうかがえる。
現在利用率では特定口座などの一般的な証券口座が2割以上と新NISAよりも高くなっているが関心度や現在利用率から考えると、新NISAの利用率が証券口座を上回る可能性も考えられる。
また、新NISAを認知しているが利用していない人の新NISAへの情報接触をみてみると、7割以上で増加したと感じている(図表4)。一方で、5割以上が制度の内容がよくわからないと感じている(図表5)。
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください
次に、属性別の新NISAと証券口座の利用率をみていく(図表7)。新NISAの利用率では性別と性別ライフステージによる差が大きく、性別では男性、性別ライフステージでは男性既婚子育てで約5割と利用率が高い。性別年代でみると男性20代の利用率が高いが、 20代でも子育てというライフステージが変わる段階で利用率に大きな差があることがうかがえる。女性でも同様の傾向がみられ、独身や子なしよりも子育て層での利用率が高くなっている。
新NISA利用意向率をみてみると、男性既婚子育てで約6割と高く、次に男性既婚子手離れで高い。現在利用している先行ユーザーとしては、男性既婚子育てや、男性既婚子手離れがおり、今後も男性ではこれらのライフステージを中心に利用されていくことが予想される。女性でも既婚子育てや既婚子手離れで利用意向率が高い。
一方、証券口座では男性60代や、女性でも高い年代で利用率が高く、新NISAと利用層の違いがみられる。
新NISAの利用の背景にはどのような意識があるのかみてみる(図表8)。「自分の能力や可能性を試したい」や「新しいことに挑戦したい」といった自己実現志向の高い人ほど利用率が高いというように、自己実現志向の高さや投資への積極性、将来への悲観的な意識が高い人ほど新NISAの利用率が高く、利用の背景にはこれらの意識が存在していた。
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください
資産形成をしている人の目的についてみていく(図表9)。「老後の資産形成」が約7割ともっとも高い。
口座別の投資先(図表10)では、新NISAで外国株式の投資信託を運用している割合が約6割と非常に高い。一方で、特定口座等の証券口座では国内株式の投資信託や国内の個別株式が高くなっており、新NISA口座では外国株式への投資、一般的な証券口座では国内株式への投資が進んでいることがわかる。この違いは年代によるものではなく、図表にはないが投資の情報源によって差が出ている。テレビ番組、家族や知人の話を参考にしている人は国内株式、新聞雑誌やネット上のサイト、YouTubeなどのSNSを参考にしている人は外国株式を運用している割合が高くなっている。
新NISAの利用の違いを生み出しているものは、リスク許容度、身近な人と話せる金融の話題、新NISAを利用していると思う周辺人数であった。まずリスク許容度の分布(図表11)ではリスク許容度の高い人が全体の約2割となっている一方で、投資をしない人も約4割となっている。身近な人と話せる金融の話題(図表12)では、1個以上の人が約4割と、半数を切っていた。新NISAを利用していると思う周辺人数(図表13)では1人以上の人が約7割となっており、新NISAを認知している人の約7割は自分の身の回りで1人以上は新NISAを利用していると感じている。
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください
次に、新NISAの利用要因について性別ライフステージ別にみてみる(図表14)。リスク許容度は性別による差が大きく、男性の方がリスク許容度の高い人が多い。性別ライフステージでは全ての要因でいずれも男性既婚子育てで高い。図表7で確認したように、新NISAの利用は男性で高く、特に男性既婚子育てで高いため、男性はリスク許容度が高いこと、子育てでは身近な人との金融の話の個数や周辺利用人数が多いことが利用の背景になっていると考えられる。
それぞれの要因ついて新NISAの利用率と今後利用意向をみてみると、リスク許容度が高いほど利用率や意向も高くなっている(図表15)。金融の話個数でも多いほど利用率や意向が高くなっている(図表16)。周辺利用人数では1人以上や4人以上になると利用率や意向が高くなるため、バンドワゴン効果が働いていると考えられる。
以上のことから、新NISAは男性子育て層がリスク許容度の高さなどにより先行して利用を始めており、今後利用意向の高さやバンドワゴン効果により今後も利用者は増加していくことが推察できる。また、利用層も拡大し、現在の子育て層から、その周辺層である子手離れや子なし層へ拡大し、現在の勢いは当分続くと考えられる。
これまで、投資は限られた層でのみ利用されてきたが、今後は新しい層での利用も進んでいくことが予想される。
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください
レポートダウンロード
レポートのPDFダウンロードには有料の会員登録が必要です。
- 新NISAの現在利用率は2割、利用意向率は3割
- 約半数が利用と男性子育て層が先行する新NISA
- 新NISAの投資先は6割が外国株式の投信
- 今後は子育て周辺層へ拡大
* 業界クリップ 2023年12月(全6頁)
- 消費者の動き 【消費の足踏み状態続く】
- 売れている食品・メニュー 【2023年のヒット商品の総括記事】
- 東京市場 【神宮外苑で「クリスマスマーケット」開催】
- 地産地消 【コンビニ3社が連携して水産物後押し】
- 食品企業の経営 【「2024年問題」への対応急ぐ】
- 製品開発 【ネスレとグーグルの睡眠サポート】
- 価格政策 【自販機のダイナミックプライシング】
- プロモーション 【ファミマが「ファミフェス」を開催】
- チャネル政策・チャネル動向 【大容量のPBが好調】
- ヘッドラインクリップ 12月の動向
最新バックナンバー
参照コンテンツ
おすすめ新着記事
消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア
調査結果を見ると、「咖喱屋カレー」が、再購入意向を除く5項目で首位を獲得した。店頭接触、購入経験で2位に10ポイント以上の差をつけ、3ヶ月内購入では2位の「ボンカレーゴールド」のほぼ2倍の購入率となった。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場 背景にある簡便化志向や節約志向
どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場 背景にある簡便化志向や節約志向
どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。