昨今、テレビ番組や雑誌など、さまざまなメディアで銭湯が取り上げられている。そこで、今回は銭湯がどんな人に利用されており、何が魅力なのかを調査した。
まず、銭湯の利用経験をみると、全国20~69歳男女約1千人の過半数で利用経験があり、1年内利用者は約16%だった(図表1)。
1年内利用者にしぼって利用頻度をみると、月2回以上利用者は約4割であった(図表2)。
続いて、さまざまな属性での銭湯の利用状況を比較したところ、性別、年代、職業によって違いがあることがわかった(図表4)。1年内利用率および今後利用意向率は、年代別では20~30代、性別年代別では男性20~30代でとくに高く、予想以上に若年層の利用率が高かった。また、職業別では管理職と正社員、職種では営業がとくに高かった。
この傾向は今後の利用意向も同様で、男性20~30代、管理職、営業でとくに高かった。
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次に銭湯はいつ、どのように利用されているかみていく。銭湯の利用日は平日より休日のほうが多い(図表5)。職業・職種別では、管理職や営業の7割弱が休日に利用している(図表6)。性別年代別では、男性20~30代の約6割が休日に利用しているが、女性20~30代では5割にとどまる。
銭湯に一緒に行った人についてみると、ひとりで利用する人が5割弱でもっとも多かった(図表7)。ついで配偶者・恋人が3割強、自分の子供が約2割と続く。
利用時間帯についてみると、平日か休日かで利用時間帯が大きく異なることがわかる(図表8)。平日では休日よりも、12~17時台の利用客が少なく、20~23時台の利用客が多い。平日のこの時間帯をみると、12~17時台では女性がより利用する傾向にあり、20~23時台になると男性がより利用する傾向にある。
滞在時間も平日か休日かで異なる(図表9)。1時間以上利用している人は、平日では女性で多い。休日だと、男性40~60代、管理職や営業で多い傾向にある。
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最近1年間で利用した銭湯の施設数をみると、2~3施設の人が4割強でもっとも多く、4施設以上利用している人も3割ほど存在している(図表10)。
2施設以上の人は、男性20~30代では8割以上と多く、さまざまな銭湯を楽しんでいることがわかる(図表11)。一方で、女性20~30代は1施設のみが約37%、男性40~60代は約32%と多い傾向にある。また、4施設以上の人は職業別では管理職が約45%でもっとも多い。
銭湯を2施設以上利用している人に複数の銭湯を利用する理由をきいてみると、「気分によって使い分けしたいから」が約66%、「様々な銭湯を楽しみたいから」が約54%で上位にあがった(図表12)。
銭湯にあった設備についてみると、「週替わりの湯」が約64%、「サウナ」が約62%、「水風呂」が約56%で上位だった(図表13)。また、そのとき実際に利用した設備でもこの3設備が上位だった。
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次に、銭湯の魅力についてみていく。今回は、属性、機能的ベネフィット、情緒的ベネフィットにわけて調査した(図表14)。属性では「週替わりの湯」「サウナ」、機能的ベネフィットでは「スッキリする」「健康維持・増進」、情緒的ベネフィットでは「気分転換」「気持ち的に浄化される」などが高く支持されている。
銭湯の魅力には、さまざまな属性差がみられた(図表15)。男性では「サウナ」「スッキリする」で高い傾向にある。性別年代別でみると、男性20~30代では「サウナ」「気持ち的に浄化される」「一緒に行く人との心理的距離感が縮まる」が高い傾向にある。 「一緒に行く人との心理的距離感が縮まる」は女性の同じ20~30代でも高い傾向にある。職業別でみると、管理職では「スッキリする」「時間をつぶすことができる」「気持ち的に浄化される」「一緒に行く人との心理的距離が縮まる」が高い傾向にある。
今回の調査から、男性20~30代は、精神的なデトックスやコミュニケーションの場としての魅力を求めて、さまざまな銭湯を高頻度で利用していることがわかった。今後利用意向も高いことから、彼らの銭湯人気は今後も続きそうだ。
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