イオンのPB(プライベートブランド)「トップバリュ」の売上が伸長し1兆円の大台を突破した。近年、食品NB(ナショナルブランド)が相次いで値上げしているなかで、PBの位置づけが大きく変わっている。PBの購入状況やPBの選択にどのような変化が起こっているのか調査をおこなった。
PBの1年内の購入経験率は72%となった。7割以上が1年以内にPBを購入、約7割がPBを今後も購入したいと考え、PBが定着していることがうかがえる(図表1)。PBの購入率が高いカテゴリーをみると、「お茶」「食パン」「ミネラルウォーター」が上位三つとなっている。1年内に購入しているカテゴリーのなかでいつも買っているPBがある「いつもPB購入率」は「シリアル」「野菜飲料」「米」が高く、PBへの代替が進んでいることがわかる。また1年前と比較してPBの購入が「増えた計」をみると、28カテゴリー中、約半数の13カテゴリーで50%を超えた(図表2)。
このことから、PB化が最近急速に進んでいることがわかる。
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次に、誰がPBを購入しているか確認してみる。基本属性のなかで1年内PB購入経験率の差が大きいのは、ライフステージ、階層意識であった。ライフステージでは「子育て」「子手離れ」、階層意識では「中の上」層でPBの購入が高いことがわかる。
さらにPBとNBの品質意識とNBの割高感ではPBの購入経験率に大きな差がみられた。当然ながら「PBの方が品質が良い」人ほど、「NBに割高感を感じている」人ほど購入率が高い(図表3)。PBの品質評価と値上げが続いているNBの割高感がPB購入を促進していることがうかがえる。
近年PBを買い始めた人を確認してみる。2年内にPBを買い始めた人は38%いる。子育て、PBの品質が高いと感じている層、NBに割高感がある層で高い。一方で「子手離れ」「子独立」で低くなっている(図表4)。
近年のPBは子育て層、NBに割高感がある層を取り込んで伸長していると思われる。
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前に確認したPBとNBの品質評価とNBの割高感についてみてみる。「PB・NB品質評価」では「PBをNBと同等以上に品質評価している」人が約60%となっている。子育て層でPBの評価が高く、NBに割高感を持っている(図表5)。
NBは今やPBとの品質差がなくなり、さらに相次ぐ値上げにより割高感を持たれてしまい、苦しい状況に陥っていると推測できる。
PB購入理由の上位は「安い」だけでなく、「コストパフォーマンスが良い」「味が良い」があげられる。特に子育て層では「大手メーカーが製造しているから」が高い。NBメーカーがPBを製造していることを知り、それによりNBとの品質差がないと判断していると推測される(図表6)。直近PB購入者のうちNBからPBにスイッチした人が58%いる。切り替えた理由は「コストパフォーマンが良かったから」「PBを試して品質が良かったから」「NBの商品の値段が上がったから」となっていた。ここでも直接的にNBの値上げとPBの高品質化がPB化の理由になっていた(図表7)。
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PBの満足度は「満足している計」が81%と高く、PBの継続購入意向は78%が「継続したい計」となっている。特に子育て層で満足度が高く、継続購入意向をもっていることがわかる(図表8)。さらに、PBの品質評価が高い層、NBの割高感の高い層でPBの高い満足度と継続意向が持たれている(図表9)。
PBにロイヤリティが形成され、今後もこの層を中心にPB化が進むと考えられる。
参考までにNBへスイッチする可能性をたずねたところ、今後NBが値下げした時、NBとPBの価格差が縮小した時があげられた(図表10)。
PBは子育て層を中心とした新しい顧客層を取り込み、今後も継続すると思われる。苦戦するNBメーカーは、PBよりも圧倒的に高い品質を実現し、NBの価値を高めていかなければ、NBは生き残れない。
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- PBの購入率は7割越え、再購入意向も約7割
- PBの品質評価とNBの割高感がPB購入を促進
- PBをNBと同等以上に品質を評価している人は約60%
- 今後もさらにPB化が進む
* 業界クリップ 2024年6月(全6頁)
- 消費者の動き 【消費の弱さ続く】
- 売れている食品・メニュー 【夏場に向けた商品が早くも人気】
- 東京市場 【「スプリングバレーブルワリー東京」を刷新】
- 地産地消 【食育月間に合わせた減塩提案】
- 食品企業の経営 【国産食材への切り替えの動き】
- 製品開発 【アサヒが「未来のレモンサワー」発売】
- 価格政策 【円安を理由とした値上げ増える】
- プロモーション 【ファミレスによるポイントプログラム】
- チャネル政策・チャネル動向 【イオンの定額減税キャンペーン】
- ヘッドラインクリップ 6月の動向
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調査設計
調査手法:インターネットリサーチ調査期間:2024年6月20日~6月21日
調査対象者:インターネットモニター 20歳~69歳
全国の男女個人
有効回収サンプル数:1,123サンプル
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