山崎製パンは2024年第1四半期に続き中間期にも過去最高益を記録し、売上が好調である。その他の大手製パンメーカーにおいても原材料や物流費の高騰で価格改定を繰り返すなかで、売上は伸長している。今回はどんな人がパンを食べているのか調べてみた。
まず、米・食事パン・総菜パンについて主食として1年内に食べた頻度と増加率をみる。食べた頻度と増減率で特に差があったのは性別年代であった。米は週5回以上食べた人が76.0%に及び、女性30代・50代で80%超え (図表1)。次に、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。また、食事パンは米に比べて週1回以上食べている人の比率は少ないが、1年前と比べて食べる頻度が増加した人はもっとも多い。特に男性20代の3割以上が食事パンを食べる頻度を増やしていた(図表2)。最後に、惣菜パンは、週1回以上食べた割合と増加率の両方で、男性30代が高くなっていた(図表3)。
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もっとも最近の平日の食事実態からみていく。主食の内容について、朝食では、米と僅差ではあるものの「食事パン」がもっともよく食べられていた。パン類全体でみると5割超え (図表4)。食事ごとで食事パンを食べた人に着目すると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。昼食では男女の差がほとんどなかったが、夕食では男性の若い年代で高くなっており、男性20・30代が全体と比較して2倍であった(図表5)。
食事中に飲んだ飲み物について、食事パン、惣菜パン等すべてを含むパン類を食べた人と、米類を食べた人の差を確認する。すべての食事において13項目中7項目以上で、パン類を食べた人の方が5%以上高くなっていた。特に夕食では10項目で差があり、様々な飲み物と一緒に食べられていることがわかる。また、朝食の「牛乳」や夕食の「スープ」で米を食べた人との差が大きかった(図表6)。このことから、パン類は飲み合わせる飲料の幅が広く、パン類の食事との合わせやすさがうかがえる。
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具体的に昼食の実態について確認する。昼食費用では、昼食にパン類を食べた人において突出した価格帯はなく、金額の幅が広いことがうかがえる。また、昼食に惣菜パンを食べたという人は「昼食費が1年前より減った人」「昼食時間は忙しかった人」で全体と比較して高い(図表7)。
次に、食事に関する意識とパンを食べる頻度増加率の関係に着目する。食事パンは「食事の節約意識」「食事の栄養バランス意識」など四つの意識が高いほど、食べる頻度が増加しており、意識していない人と比較して2倍以上高い。生活意識が影響していることがわかる(図表8)。また、惣菜パンは、「一品完結」「食事時間の速さ」「腹持ちの良さ」「おかずのバリエーションの豊富さ」を重視している人ほど、頻度が増加していた。惣菜パンにおいては、食事の重視点が影響していることがうかがえる(図表9)。健康志向や食事の簡便化ニーズを持つ人ほど、パン類を食べる頻度を増やしていることがわかった。
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パンに対する評価では、パンが好きな人は全体で7割を超えており、幅広い層から好まれている。パンの利点では「持ち運びやすさ」「片手で食べられる」「種類の豊富さ」が7割以上で上位だった。欠点では「カロリーが高い」がもっとも高く、賛同率は5割程度であった。(図表10)。
パンへの好意は性差が大きく、女性では8割を超えている。特に女性の20代と40-60代で高い。「調理の簡単さ」も女性で高く、特に女性の40・50代で8割以上であった。 「食事への合わせやすさ」「アレンジのしやすさ」は女性20代や男性30代で評価されていた。(図表11)。
ここまでみてきたように、パンは、様々な飲み物や食事に合わせやすいというメリットが感じられていた。また、前ページで確認した節約志向や食事を簡便化したいというニーズは、当面の間、持続すると考えられるため、今後もパンの受容性は高まることが推測される。
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- パン食を増やしている20代
- 朝食でパンを食べる人は5割超え
- パンが伸びる背景にある健康志向と簡便化志向
- 「パンが好き」は7割超え。女性を中心に感じられているパンの利点
- 消費者の動き 【6月の実質賃金がプラス】
- 売れている食品・メニュー 【ジン市場が好調】
- 東京市場 【六本木でバーガーの祭典】
- 地産地消 【ご当地料理に合う「味ぽん」】
- 食品企業の経営 【松屋がモンゴルに進出】
- 製品開発 【ゲーマー向けラーメンが登場】
- 価格政策 【食品の値上げ幅の落ち着き】
- プロモーション 【ワタミが「リモート接客」を開始】
- チャネル政策・チャネル動向 【セブン-イレブンが「コスパ」で反転攻勢】
- ヘッドラインクリップ 8月の動向
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30年の長いトンネルを抜けて、そこは「灼熱の真冬」だった。2024年の消費は、経済史において消費転換の年だったと明記されるかもしれない。
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調査設計
調査手法:インターネットリサーチ調査期間:2024年9月27日~9月30日
調査対象者:インターネットモニター 20歳~69歳
全国の男女個人
有効回収サンプル数:1,058サンプル
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