半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2024年11月06日

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第167号
伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向


本コンテンツは、食生活についての消費者への独自調査をもとに、その分析結果をまとめたオリジナルコンテンツです。無料会員の方は、調査結果の分析パートと、主要各紙から食生活のトレンドを整理した業界クリップの2部構成でお届けするレポート形式のPDFダウンロードがご利用いただけます。


【1】パン食を増やしている20代

 山崎製パンは2024年第1四半期に続き中間期にも過去最高益を記録し、売上が好調である。その他の大手製パンメーカーにおいても原材料や物流費の高騰で価格改定を繰り返すなかで、売上は伸長している。今回はどんな人がパンを食べているのか調べてみた。

 まず、米・食事パン・総菜パンについて主食として1年内に食べた頻度と増加率をみる。食べた頻度と増減率で特に差があったのは性別年代であった。米は週5回以上食べた人が76.0%に及び、女性30代・50代で80%超え (図表1)。次に、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。また、食事パンは米に比べて週1回以上食べている人の比率は少ないが、1年前と比べて食べる頻度が増加した人はもっとも多い。特に男性20代の3割以上が食事パンを食べる頻度を増やしていた(図表2)。最後に、惣菜パンは、週1回以上食べた割合と増加率の両方で、男性30代が高くなっていた(図表3)。

図表
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください


【2】朝食でパンを食べる人は5割超え

 もっとも最近の平日の食事実態からみていく。主食の内容について、朝食では、米と僅差ではあるものの「食事パン」がもっともよく食べられていた。パン類全体でみると5割超え (図表4)。食事ごとで食事パンを食べた人に着目すると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。昼食では男女の差がほとんどなかったが、夕食では男性の若い年代で高くなっており、男性20・30代が全体と比較して2倍であった(図表5)。

 食事中に飲んだ飲み物について、食事パン、惣菜パン等すべてを含むパン類を食べた人と、米類を食べた人の差を確認する。すべての食事において13項目中7項目以上で、パン類を食べた人の方が5%以上高くなっていた。特に夕食では10項目で差があり、様々な飲み物と一緒に食べられていることがわかる。また、朝食の「牛乳」や夕食の「スープ」で米を食べた人との差が大きかった(図表6)。このことから、パン類は飲み合わせる飲料の幅が広く、パン類の食事との合わせやすさがうかがえる。

図表
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください


【3】パンが伸びる背景にある健康志向と簡便化志向

 具体的に昼食の実態について確認する。昼食費用では、昼食にパン類を食べた人において突出した価格帯はなく、金額の幅が広いことがうかがえる。また、昼食に惣菜パンを食べたという人は「昼食費が1年前より減った人」「昼食時間は忙しかった人」で全体と比較して高い(図表7)。

 次に、食事に関する意識とパンを食べる頻度増加率の関係に着目する。食事パンは「食事の節約意識」「食事の栄養バランス意識」など四つの意識が高いほど、食べる頻度が増加しており、意識していない人と比較して2倍以上高い。生活意識が影響していることがわかる(図表8)。また、惣菜パンは、「一品完結」「食事時間の速さ」「腹持ちの良さ」「おかずのバリエーションの豊富さ」を重視している人ほど、頻度が増加していた。惣菜パンにおいては、食事の重視点が影響していることがうかがえる(図表9)。健康志向や食事の簡便化ニーズを持つ人ほど、パン類を食べる頻度を増やしていることがわかった。

図表
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください


【4】「パンが好き」は7割超え。女性を中心に感じられているパンの利点

 パンに対する評価では、パンが好きな人は全体で7割を超えており、幅広い層から好まれている。パンの利点では「持ち運びやすさ」「片手で食べられる」「種類の豊富さ」が7割以上で上位だった。欠点では「カロリーが高い」がもっとも高く、賛同率は5割程度であった。(図表10)。

 パンへの好意は性差が大きく、女性では8割を超えている。特に女性の20代と40-60代で高い。「調理の簡単さ」も女性で高く、特に女性の40・50代で8割以上であった。 「食事への合わせやすさ」「アレンジのしやすさ」は女性20代や男性30代で評価されていた。(図表11)。

 ここまでみてきたように、パンは、様々な飲み物や食事に合わせやすいというメリットが感じられていた。また、前ページで確認した節約志向や食事を簡便化したいというニーズは、当面の間、持続すると考えられるため、今後もパンの受容性は高まることが推測される。

図表
高画質版の図表はレポートダウンロードをご利用ください


レポートダウンロード

レポートのPDFダウンロードには無料の会員登録が必要です。


* オリジナル調査結果の分析 構成(全4頁)
  1. パン食を増やしている20代
  2. 朝食でパンを食べる人は5割超え
  3. パンが伸びる背景にある健康志向と簡便化志向
  4. 「パンが好き」は7割超え。女性を中心に感じられているパンの利点
* 業界クリップ 2024年8月(全6頁)
  1. 消費者の動き        【6月の実質賃金がプラス】
  2. 売れている食品・メニュー  【ジン市場が好調】
  3. 東京市場          【六本木でバーガーの祭典】
  4. 地産地消          【ご当地料理に合う「味ぽん」】
  5. 食品企業の経営       【松屋がモンゴルに進出】
  6. 製品開発          【ゲーマー向けラーメンが登場】
  7. 価格政策          【食品の値上げ幅の落ち着き】
  8. プロモーション       【ワタミが「リモート接客」を開始】
  9. チャネル政策・チャネル動向 【セブン-イレブンが「コスパ」で反転攻勢】
  10. ヘッドラインクリップ     8月の動向


「消費社会白書2025」のご案内

消費社会白書2025 価値観の群れで掴む本格回復【電子書籍】
書籍イメージ

30年の長いトンネルを抜けて、そこは「灼熱の真冬」だった。2024年の消費は、経済史において消費転換の年だったと明記されるかもしれない。


最新バックナンバー


参照コンテンツ

調査設計

調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2024年9月27日~9月30日
調査対象者:インターネットモニター 20歳~69歳
        全国の男女個人
有効回収サンプル数:1,058サンプル



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


新着記事

2025.03.07

消費者調査データ RTD(2025年3月版) 「氷結」、「ほろよい」の競り合い続く アサヒの新顔は高いリピート意向

2025.03.06

25年1月は「完全失業率」は横ばい、「有効求人倍率」は改善

2025.03.05

25年2月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のプラス

2025.03.04

関税政策に日本企業はどう対応すべきか

2025.03.04

25年1月の「新設住宅着工戸数」は9ヶ月連続のマイナス

2025.03.03

企業活動分析 NECの24年3月期は国内がけん引し増収増益

2025.02.28

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 清貧・ゆとり世代が消費を牽引!賞与の使い道は?

 

2025.02.28

消費からみた景気指標 24年12月は7項目が改善

2025.02.28

25年1月の「ファミリーレストラン売上高」は35ヶ月連続プラス

 

2025.02.28

25年1月の「ファーストフード売上高」は47ヶ月連続のプラスに

2025.02.27

MNEXT 情況の戦略判断シリーズ トランプを揺るがすネット世論 - 正体は「ルサンチマン」

  

2025.02.27

減税政策は人気とりのバラマキ政策か

2025.02.27

月例消費レポート 2025年2月号 消費は改善の動きが続いている - 物価や金利の上昇ペース次第で消費回復のブレーキとなるおそれも

2025.02.26

25年1月の「全国百貨店売上高」は3ヶ月連続のプラスに

  

2025.02.26

25年1月の「チェーンストア売上高」は既存店で3ヶ月連続のプラスに

2025.02.26

25年1月の「コンビニエンスストア売上高」は2ヶ月ぶりのプラスに

2025.02.25

企業活動分析 ヤマダHDの24年3月期は主力のデンキセグメント不振で3期連続の減収減益へ

2025.02.21

消費者調査データ スナック菓子(2025年2月版) 経験率7割超、カルビー「ポテトチップス」の人気揺るがず

2025.02.21

24年12月の「旅行業者取扱高」は19年比で79%に

2025.02.20

24年12月の「商業動態統計調査」は9ヶ月連続のプラス

2025.02.19

月例消費レポート 2025年1月号 消費は改善の動きがみられる - 国内外からの物価上昇リスクが消費回復を妨げるおそれも

2025.02.18

25年1月の「景気の先行き判断」は5ヶ月連続の50ポイント割れに

2025.02.18

25年1月の「景気の現状判断」は11ヶ月連続で50ポイント割れに

週間アクセスランキング

1位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

2位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

3位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

4位 2025.02.27

減税政策は人気とりのバラマキ政策か

5位 2013.03.22

MNEXT ビックカメラによるコジマの買収はメーカーを巻き込んだ衰退業界再編の始まり

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area