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「改正薬事法」施行と医薬品の購入
改正薬事法後もドラッグ優位は続くのか
 
 2009年6月1日、登録販売者のもとでの第二類、第三類医薬品のカウンセリング販売などを骨子とした改正薬事法が施行された。一般用医薬品の販売チャネルではドラッグストアが最大だが、大手小売業やネット通販などが勝機をうかがっている。
今回対象者の一般用医薬品購入時期
 今回のネット評判記では、「1年以内に一般用医薬品(OTC)」を購入した当社インターネットモニターを対象に、「改正薬事法」施行前後での医薬品の購入とチャネル評価をみた。なお、購入時期については「改正薬事法」施行後の購入があるのは、36.1%となっている。

図表1.「改正薬事法」の認知
 「改正薬事法」の施行についての認知をみると(図表1)、
  • 全体では、「改正薬事法」について知っている人は93.0%にものぼるが
  • 内容まで含む詳細な認知があるのは19.7%にとどまる
という結果で、購入時期別にみると、「内容まで知っている」人は
  • 薬事法改正前の購入者 17.6%
  • 薬事法改正後の購入者 23.4%
となり、「改正薬事法」後の購入者で相対的に多いという結果である。
図表2.「改正薬事法」の認知の内容
 認知の内容をみると(図表2)、
  • 「一般医薬品が第一~第三類に分類されること」
  • 「2009年6月1日に施行されたこと」
  • 「第二、第三類は薬剤師がいなくとも登録販売者がいれば販売できるようになること」
などの認知が高い。
性別や購入時期でみると、
  • 男性では、「通信販売では離島、継続使用者などの例外を除き、第三類以外は販売できなくなる」こと
  • 薬事法改正後の購入者では、「2009年6月1日に施行されたこと」
の認知が相対的に高い。

図表3.医薬品購入のために
もっとも最近利用したチャネル
 次に、購入チャネル別に医薬品の購買の特徴をみる。
 医薬品購入のためにもっとも最近利用したチャネルをみると(図表3)、
  • 「マツモトキヨシ」 14.7%
  • 「サンドラッグ」   7.0
  • 「スギ薬局」     6.2
などドラッグストアが合計で80.9%と圧倒的で、総合スーパーが6.9%、個人経営の薬局薬店が3.4%、改正薬事法で動向が注目されるコンビニエンスストアでの購入は0.4%にすぎない。
図表4.カウンセリングの有無
 カウンセリングの有無をみると(図表4)、全体では
  • カウンセリングを受けて購入した人は20.4%いたが
  • うち15.0%は「薬剤師に相談」しており、「登録販売者に相談」した人は3.0%に過ぎなかった
という結果であり、一般用医薬品の購入の際にカウンセリングを受ける人は少数派となっている。
 チャネル別では
  • 総合スーパーや「スギ薬局」ではカウンセリングなしの購入が多いのに対し
  • 購入者が少ないながら、薬剤師常駐の薬局では、カウンセリングが多い
  • 登録販売者のカウンセリングを受けた人は、ドラッグストアのなかで最も多い「マツモトキヨシ」でも5.1%にとどまっている
という結果である。
 薬事法改正の目玉のひとつである登録販売者の制度であるが、現実には取得者がまだ少ないこともあり、あまり浸透していないといえる。

図5.医薬品購入チャネルへの期待
 次に、医薬品チャネルのニーズと各チャネルの評価から、薬事法改正後のチャネルの優勝劣敗を考えてみる。
 医薬品購入チャネルへの期待のうち上位10項目をみると(図表5)、
  • 「医薬品の種類が豊富」  56.2%
  • 「商品の比較がしやすい」 42.7
といった品揃えや店頭へのニーズが上位に挙がり、次いで
  • 「安売りをしている」   40.4%
  • 「安い医薬品を売っている」34.6
などの低価格ニーズや
  • 「ついでに寄れる」    38.2%
などの利便性のニーズが続く反面、
  • 「専門知識をもった店員や薬剤師がいる」 25.9%
といった人的なニーズは相対的に低い。購入の際に薬剤師や店員に相談する人が少ないことからみても、一般用医薬品のカウンセリングニーズは高くないといえるだろう。

 では、このようなニーズに応えているチャネルはどこなのか。上位に挙げられたニーズについて、主要なチャネルやチェーンについて1年以内の利用者の評価を整理したものが図表6である。
  • 上位のニーズである「種類が豊富」「比較がしやすい」などの品揃えに関するニーズや、「安売り」などの低価格ニーズでは、「マツモトキヨシ」や「ハックドラッグ」などをはじめとしたドラッグストアの評価が高い
  • 総合スーパーでは「ジャスコ(イオン)」、コンビニでは「セブン-イレブン」での1年内購入がみられるが、特に評価の目立つ項目はない
  • 独立系の薬局・薬店は、「店員が親切」「専門知識をもった店員や薬剤師がいる」など人的なニーズへの評価は高いものの、品揃えや利便性での評価はドラッグストアに及ばない
という結果であった。ドラッグストアは、上位に挙げられたニーズに関しておおむね高い評価を得ており、特に業界最大手の「マツモトキヨシ」は、品揃えや低価格という点で極めて高い評価を得ている。また、全店舗に調剤室を併設する「スギ薬局」や、上場企業中調剤で第一位の「セガミ・セイジョー」は「専門知識をもった店員や薬剤師がいる」「安心できる」などの項目で高い評価を得ている。

図表6.医薬品販売チャネルの評価


図表7.チャネル、チェーン別リピート意向
 このようなドラッグストアの評価の高さは、リピート意向にもみられる。もっとも最近利用した店舗についてのリピート意向をみると(図表7)、
  • 上位5位までをドラッグストアが独占し
  • 「サンドラッグ」「ツルハ・くすりの福太郎」は、今後も利用したい人の比率が90%を超える
という結果である。

 健康志向の強まりなどを背景に、消費不況の影響も相対的に小さい医薬品の市場は、薬事法改正を機に、総合スーパーや大手コンビニエンスストアの参入や業容拡大が相次いでいる。現状ではドラッグストアの圧倒的な優位にみえるものの、「ローソン」と「マツモトキヨシ」の提携やイオングループのドラッグチェーン「ハピコム」から「スギ薬局」の離脱など業界は大きく変動しており、激動する業界の行方が今後も注目される。

(2009.10)


【調査設計】
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2009年7月10日~7月14日
調査対象者:当社インターネットモニター
      20~69歳 全国の男女個人
有効回収サンプル数:532サンプル
サンプル構成

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