半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

価格差別化戦略
-利用チャネルをシグナルとした戦略的プライシング1

 構 成

(オープン公開中)
メンバーシップサービス
メンバーシップサービス
メンバーシップサービス
メンバーシップサービス
メンバーシップサービス
メンバーシップサービス
メンバーシップサービス
メンバーシップサービス
メンバーシップサービス


1.問題の所在
 企業が経済活動とその意思決定を行う動機は、利潤最大化にある。利潤の規定変数は、売上数量、価格、コストの三つである。今日、あらゆる市場が成熟期を迎え、売上数量を増やすことは難しく、また、コスト削減の余力も限られてきている。価格が企業の利益水準を決める重要な変数であることは自明であるが、現実のプライシングは、コスト・プラス法や目標利益確保法などを用いた単一価格設定が多く、価格を戦略的に利用している企業は少ないとみられる。
 価格が戦略的に利用されていないのは、価格決定そのものが販売の現場で行われることや流通企業との取引関係もあり、直接コントロールする余地が大きくないという要因が考えられる。さらに、消費者の裁定行動により、合理的な購買がなされることを前提とするなら、最も安く販売する店で購入されることになる。こうした場合、他店も同様に価格を下げざるを得なくなり、「一物一価」に価格が定まることが意識されている点も指摘できる。
 この一物一価の法則には、「情報の完全性」が前提にある。消費者が、全ての販売店の価格情報を有し、合理的な行動を採れば、価格は一価に定まる。しかし、商品・サービスや流通の多様化は目覚ましく進展している。様々な情報源から必要な情報を収集する機会コストも飛躍的に上昇していると考えられ、消費者が豊富な選択肢の隅々まで完全に知り尽くすことは、現実には不可能になっている。一物一価ではなく、むしろ「一物多価」が成立する状況が生まれている。企業にとっても、インターネットの普及や流通多様化を源泉に、様々なシグナルを活用して個々の消費者を識別し、利潤を高めることが可能となりつつある。
 こうした豊富な情報を活用し、消費者の異なる需要関数が捕捉できれば、単一の価格設定ではなく、消費者により異なる「商品やサービスに対し支払ってもよいと思う最大金額である支払意思価格(willingness to pay。以下、WTP)」に応じた複数の価格設定を行うことで、よい多くの利潤を引き出す価格差別化戦略が可能になると考えられる。
本稿は、こうした問題意識のもと、価格設定の実務に携わる消費財メーカーのスタッフに向けて、価格を戦略的に利用し利潤を向上させる価格差別化戦略を提示することを狙いとする。
(2004.04)

本論文執筆は、当社代表松田久一による貴重な助言や協力のもとに行われました。ここに謝意を表します。

 本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧にはメンバーシップサービス会員(有料)が必要です。

メンバーシップサービス会員ご登録についてはこちらをご覧ください。
メンバーシップサービス会員の方は、下記をクリックして全文をご利用ください。
PDFのダウンロードは、下記をクリックして購入画面にお進みください。


【附 注】
1 本稿は、菅野守らによる研究成果を執筆したものである。


お知らせ

2025.03.06

クレジットカード決済に関する重要なお知らせ

新着記事

2025.03.27

25年2月の「ファーストフード売上高」は48ヶ月連続のプラスに

2025.03.27

25年2月の「ファミリーレストラン売上高」は36ヶ月連続プラス

2025.03.04

25年1月の「新設住宅着工戸数」は9ヶ月連続のマイナス

2025.03.27

消費からみた景気指標 24年12月は7項目が改善

2025.03.26

25年2月の「コンビニエンスストア売上高」は2ヶ月ぶりのマイナスに

2025.03.26

25年2月の「チェーンストア売上高」は既存店で4ヶ月ぶりのマイナスに

2025.03.26

25年2月の「全国百貨店売上高」は4ヶ月ぶりのマイナスに

 

2025.03.25

25年1月の「商業動態統計調査」は10ヶ月連続のプラス

2025.03.24

中国メーカーの多様化戦略への対応―垂直差別化では勝てない

 

2025.03.24

提言論文 高収入層がけん引するアメリカ消費 - 日本はどうなのか

2025.03.24

企業活動分析 トヨタの24年3月期は営業利益5兆3,529億円、大幅な増収増益を達成

2025.03.24

企業活動分析 マツダの24年3月期は北米好調で売上利益とも過去最高を達成

2025.03.21

消費者調査データ トップは「ドライゼロ」、2位を争う「オールフリー」「のんある気分」

2025.03.19

25年1月の「旅行業者取扱高」は19年比で72%に

  

2025.03.18

25年2月の「景気の先行き判断」は6ヶ月連続の50ポイント割れに

2025.03.18

25年2月の「景気の現状判断」は12ヶ月連続で50ポイント割れに

2025.03.17

なぜ、「外国人」社長が大手企業で多くなるのか - コーポレートガバナンスの罠

2025.03.17

企業活動分析 ファーストリテイリング24年8月期は売上・営業利益ともに4期連続で過去最高を達成

2025.03.14

日本のブランド危機と再生戦略 - トライアドマーケティング

2025.03.13

25年1月の「消費支出」は3ヶ月連続のプラスに

2025.03.12

25年1月の「家計収入」は4ヶ月ぶりのマイナス

2025.03.11

25年1月の「現金給与総額」は37ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

週間アクセスランキング

1位 2024.06.19

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 縮小する野菜ジュース市場 値上げ下でブランド継続は4割

2位 2025.03.14

日本のブランド危機と再生戦略 - トライアドマーケティング

3位 2025.03.17

なぜ、「外国人」社長が大手企業で多くなるのか - コーポレートガバナンスの罠

4位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

5位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area