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消費低迷の謎を解く
- 日本型ダウンシフト消費
大場美子
 日本の消費低迷が継続しています。経企庁2000年12月の消費動向に関する発表では「現金給与総額がやや回復、消費者の収入に対する先行きへの見方も改善に向かっているが、個人消費はおおむね横ばい状態が続いており、今後とも消費を引き締めようとする消費者の割合にはほとんど変化がない」という状況にあります。
 一方アメリカの個人消費は、株安から減速がいわれはじめていますが、貯蓄率がほぼ0%代に達するという過剰な消費傾向が続いています。ジュリエット・B・ショア「浪費するアメリカ人」(1998)によると、大衆が所得階層上位20%にあたるアッパーミドル層を「準拠集団」として願望を引き上げ、高水準消費という新たな消費主義が拡大しているとしています。著者は、最後に、「ダウンシフト消費」への転換、つまり「欲望の上昇を止める」ための処方箋を提示しています。
 高度消費社会を実現した日本とアメリカにおいて、全く逆のことが起こっています。日本における長期の消費低迷が、収入の減少だけでは説明がつかないことは「90年代の消費の分析」で示唆しました。我々はバブル期に欲望水準を上昇させ、その崩壊を契機に、一気に欲望水準を低下させ生活を「ダウンシフト」化してしまったのかもしれません。そうだとするとアメリカの過剰消費が容易にスローダウンできなかったのと同様に、バブル崩壊から8年が経過した「ダウンシフト」化も世紀を越える消費の長期トレンドとなっていく可能性があります。
 ここでは、本年11月末に実施した弊社インターネットモニター調査結果より消費意識を分析し、消費低迷の背景にどんな消費意識があるのかを探ります。


本稿は当社代表・松田久一からの貴重な助言のもとに執筆されました。ここに謝意を表します。あり得べき誤りは筆者の責に帰します。

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