新中流層とは、中流社会の崩壊の中で生き残った、「中の上」の階層のことをさし、当社では、統計的に把握可能な世帯年収1,000万円以上5,000万円未満の層としています。富裕層が人口の1%に満たないのに対して、人口の約12%を占め、マーティングのターゲットとなりうる規模を有し、現在の消費をリードしている人々として注目しています。
1990年代以降は年功序列、終身雇用といった日本的経営が崩壊し、実力主義賃金体系の導入などにより格差化が進みました。しかし、現在では非正社員の正社員化、長期雇用への回帰、ベースアップ、企業の人づくりへの投資などにより収入が回復しつつあり、中流層が増加傾向を見せ、格差拡大から格差縮小へと進む兆しが出ています。一方で、実力主義賃金体系への移行の中、正社員の間でも収入格差が増大し、中流の収入階層の分化が進んでいます。
このような中で、「新中流層」とも呼べる新たなリーダー層が生まれています。我々の調査では、2005年以降は、収入ベースでみた下流層拡大に歯止めがかかり、「新中流層」が拡大していることが確認できています。
新中流層は、都市型と地方型のふたつのタイプに分けることができます。商品サービスの情報ソースが多く、店頭などの実物接触に重点を置き、マイナス情報も組み込んで商品選択をする、というのは共通にみられる特徴です。
その上で都市型は、商品サービスそのものの価格だけではなく、入手に必要な手間や時間などの機会コストを強く意識しています。また、新しい機能やスペックを重視し、ブランド志向が高く、百貨店や専門店の利用が多い、宅配ケータリングなどのサービス比重の高いチャネル利用が多い、という特徴があります。
対して地方型は、機会コスト意識は低く、実際の購入価格を重視します。ブランドやヒット商品などの流行に弱く、追従意識が強くみられ、購入は総合スーパーやホームセンターが中心チャネルです。
都市型は新製品やブランドのイノベーターであり、地方型はフォロワーだといえます。
無料の会員登録をするだけで、
最新の戦略ケースや豊富で鮮度あるコンテンツを見ることができます。
参照コンテンツ
おすすめ新着記事
消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア
調査結果を見ると、「咖喱屋カレー」が、再購入意向を除く5項目で首位を獲得した。店頭接触、購入経験で2位に10ポイント以上の差をつけ、3ヶ月内購入では2位の「ボンカレーゴールド」のほぼ2倍の購入率となった。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場 背景にある簡便化志向や節約志向
どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。
成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場
コロナ禍で打撃を受けた市場のひとつに惣菜市場がある。特に外出自粛の影響を受けた百貨店の惣菜などが落ち込んだ。しかし、翌21年には早くも持ち直し、22年、23年と2年連続で過去最高を更新した。