団塊の世代、中でもこの世代でもっとも多い1947年生まれの労働者たちが、2007年に60歳を迎え、定年退職することにより、企業活動に大きなダメージを与えるという問題をさします。この問題は、2005年度版の『ものづくり白書』でも取り上げられ、全産業の約22%、特に製造業では約31%の企業が危機感を感じているとの意識をもっているとされています。
(1)労働力不足の問題
約300万人といわれるこの世代の労働者が一定期間の中で大量にリタイアしていくことで、深刻な労働力不足に陥ることが予想されています。日本企業は現在、労働力の不足を免れるために、積極的に新規採用を行っています。一時期よりも採用市場が好転したのは、このことも要因のひとつであると考えられます。
(2)ノウハウ、技術継承の問題
ベテラン労働者の大量リタイアは、今日まで培われてきた高度な技術やノウハウの継承を途絶えさせる危険があります。欧米企業と比較して、組織内で属人的な働き方をする労働者が多い日本企業では、ノウハウを持つベテラン労働者がリタイアすると、その労働者と共にノウハウや技術が企業から失われてしまいます。また、経験から得られたいわゆる「暗黙知」についても同様です。これらをいかに企業の資産として残すかという課題に企業は取り組んでいますが、そのためには多くのコストを要し、困難を極めているというのが現状です。
(3)企業体力低下の問題
大量に退職者が出ることに伴い、企業が支払う退職金も増加します。このことで、企業は自身の体力が奪われ、設備投資など積極的な戦略がとりづらくなってしまいます。
この問題は、少子化やニートといった労働市場における問題とも連動し、日本企業に多大な影響を与えることが予想され、各企業の国際競争力の低下が危惧されています。
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