2007年までは雲ひとつない順風満帆の航海を続けてきた日本経済も、2008年に入り、サブプライムローン問題や米国経済の失速懸念などを震源とする内外の経済の動揺にさらされ、あやしい雲行きとなりつつあります。 2008年度の日本経済の情勢については、消費には一服感が出始めるが外需と設備投資に支えられて安定成長が続くという楽観的な見方がある一方で、内外需ともに成長にかげりが見え出し景気の失速が見え始めるという悲観的なシナリオも台頭しつつあります。下落に歯止めがかからない株価にも象徴されるように、経済の先行きに対する不透明感は高まっており、景気見通しも中立から悲観方向への変化の兆しがうかがわれます。 日本経済の底流で生起しつつある変化の予兆を捉えて、一歩先を見据えた戦略的判断と行動の一助となることを企図して、このたび「消費経済レビュー」第8号を発刊いたします。 第I部では、前号が発刊された2007年10月以降の経済情勢を整理し、今後の日本経済を読む鍵を提示します。 第II部では、人々の間で年齢を問わず関心の高い老後の生活設計に焦点を当て、老後の収支見通しの違いが、老後資金形成に向けた家計の貯蓄並びに資産選択行動にもたらす変化について考察を加えております。 第III部では、商品ごとの消費者同士での情報交換のネットワークについて、調査とその調査に基づいた広告投下のシミュレーションにより解明し、今後の応用の方向性について考察をしております。 第IV部では、消費者の商品選択における状況依存性に焦点を当て、実験心理学のアプローチによる独自の実証実験の結果を紹介し、消費行動分析への新しい視点を提供するとともに、マーケティング実務への応用可能性を検討しております。 次なる一手を模索する実務家のみなさまにお届けいたします。
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