東日本大震災から9ヶ月余りが過ぎ、日本経済は大震災当初のダメージからは立ち直りつつあるものの、本格的な復興は果たせぬまま、年末年始を迎えています。 欧州は、ギリシャからイタリアなどEU各国に飛び火し深刻化する財政危機に、いまだ揺れています。中国は、バブル崩壊のリスクを抱えながら、過熱する景気に対しギリギリの舵取りを続けています。アメリカは、世界金融危機のダメージからは一向に立ち直れず、来るべき大統領選を控え、低金利・ドル安誘導を続けています。長引くタイ洪水の影響も、現地へ進出している日本企業に止まらず、日本のサプライチェーン全体にも冷や水を浴びせている格好です。世界経済の情勢を踏まえた消去法的選択として、2011年夏頃より円高が再加速し歴史的最高値を更新、今や77円前後の水準で定着しつつあります。海外景気の低迷・失速や長期化しつつある歴史的な円高など、海外発の波乱要因がもたらすマイナス・インパクトは、輸出や生産、設備投資などの実体経済面にも現れてきております。 2012年に入って以降の日本経済の見通しについては、2011年度下期は内外需ともに減速し景気の低迷が目立ちますが、2012年度に入り、海外発の波乱要因による悪影響が軽微なものに止まれば内外需ともに堅調に推移し景気は全面回復を果たすシナリオへ、悪影響が長引けば内外需ともに減速し景気の失速が本格化するシナリオへ、といった両極端な見方に分かれているようです。 消費支出は、政策効果の剥落とその後の反動減に加え、大震災のダメージも相まって、大震災前の水準に戻しきれないまま失速・低迷を続けています。消費マインドの低調さも重なり、消費の先行きは不透明さを増しています。雇用・所得環境について改善の兆しがみえるのは数少ない好材料ですが、輸出の失速や企業業績の低迷が本格化した場合、企業側も雇用・賃金調整に踏み切る可能性は否定できません。大手企業の2011年冬季のボーナス支給は小幅ながらもプラスを維持した模様ですが、2012年度以降、円高による輸出や企業業績等へのダメージが織り込まれる可能性は高く、雇用・所得情勢の先行きも決して盤石ではありません。消費をとりまく環境の厳しさは、年が明けてからも続いていくことになりそうです。 今回第17号は、定例の「Economic Outlook for Japan」のみのご案内です。 「Economic Outlook for Japan」では、前号が発刊された2011年3月以降の経済情勢を整理し、海外景気の波乱や歴史的円高に翻弄されて景気の回復にもたつき、先行き不透明感が高まりつつある日本経済の見通しと、今後の消費の読み方を提示します。 2012年新春、日本経済の底流で生起しつつある変化の予兆を捉えて、一歩先を見据えた戦略的判断と行動の一助となることを企図して、「消費経済レビュー」第17号を実務家のみなさまにお届けいたします。
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