2012年師走の総選挙にて、再び政権交代が実現しました。新たに誕生した安倍政権が進めようとしている政策等への期待感を先取りした形で、衆議院解散直後より既に、円安・株高が大きく進んでおります。ただ、喫緊とされている景気対策を始めとして、消費税増税、震災復興、原発、TPPなど、総選挙で主な焦点となっていた政策課題の具体的な詰めは、まだこれからです。 公表されている経済指標を見ると、2012年の半ば頃までは堅調な推移を続けていた景気も既にピークアウトをみせており、中国を始めとする海外景気の落ち込みによる外需の低迷や、震災復興特需や政策効果等の剥落による内需の反動減により、景気の失速が鮮明となっております。企業のマインド悪化により設備投資は先行き下方修正含みとなっており、在庫・生産調整にも拍車がかかりそうな気配です。 今後の日本経済の見通しとして、2012年度は不振をみせていた輸出と設備投資も、2013年度にはともに反転上昇し景気は回復をみせる、とのシナリオが主流です。2014年度については、外需依存の回復となりそうですが、2014年4月からの消費税増税後の反動減による消費のスランプが大きく響けば、景気は再び低迷・失速の可能性を孕んでいる、との見方も一部では出てきております。 消費も勢いの鈍化が鮮明であり、販売面からも景気の失速が表面化してきております。震災復興特需や政策効果による消費の押し上げ効果が剥落していけば、消費も更に失速しそうな気配です。消費税増税前の駆け込み需要とその後の需要の反動減の出方については、エコノミストやマーケット関係者の間でも見方が分かれており、コンセンサスには至っていないようです。雇用環境や収入環境にも悪化の兆しが徐々に見え始めており、2012年冬のボーナスも官民ともに昨年冬を越えるマイナスが見込まれています。消費マインドもピークアウトし、悪化が加速しつつあります。今回の総選挙の結果が消費マインドにもたらすインパクトも、いまのところ定かではありません。 今回第20号は、定例の「Economic Outlook for Japan」のみのご案内です。 「Economic Outlook for Japan」では、前号が発刊された2012年8月以降の経済情勢を整理し、2012年半ば頃以降の内外需の不振により景気が失速・低迷を深めていく中で、国内外での政治情勢を受けて大きな変化の節目に直面する日本経済の見通しと、今後の消費の読み方を提示します。 2013年新春、日本経済の底流で生起しつつある変化の予兆を捉えて、一歩先を見据えた戦略的判断と行動の一助となることを企図して、「消費経済レビュー」第20号を実務家のみなさまにお届けいたします。 (2013.01)
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