Loading [Contrib]/a11y/accessibility-menu.js

半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net


(2019.03)
マーケティングのための人工知能入門およびその周辺技術
(6)Rを用いたディープラーニング入門
客員研究員 沖縄国際大学 金城敬太






 前回に引き続き、近年注目されているディープラーニングについて、具体的に「Keras」というフレームワークを「R」で利用しながら、解説していく。ディープラーニングは、理論的には難しい点もある。しかし、ゼロから実装するのでははく、フレームワークを利用すれば、誰でも比較的容易に実行することができるようになってきた。そのため、ディープラーニングの大衆化といわれているほどに普及しつつある。


1.はじめに

 第5回でも紹介したように、ディープラーニングを行う際にも、多くのフレームワークが提案されている。

  • Tensorflow・・・Googleの開発しているフレームワーク。
  • Keras・・・非常に簡単に実装できる。そのため導入としてよい。
  • Chainer・・・日本のpreferred networksで開発されている。

 それ以外にもMxnetなどがある。

 それぞれ設計の思想があり、利用できるプログラミング言語も異なっている。

 ここで扱うKerasというのは、プロジェクトONEIROSの研究で開発され、GoogleのエンジニアのFrançois Cholletがつくったものだ。

 Kerasのメリットは、最小限の記述で実行でき、初心者でも容易に実装できるわかりやすさにある。人工知能の普及や、大衆化といったことも言われている現在、その一役を担っている。一方、デメリットとしては、ブラックボックス的に処理してしまうため、中身を細かく理解せずとも使えてしまうという点や、自分で拡張をする場合に問題が出る可能性がある点だ。

 Pythonでも提供されているが、ここでは前回同様にRで行う方法を解説する。

 まず、分析の大きな流れについて紹介しよう。実行には、大きく五つのステップがある。細かい用語については第5回も参考にしてほしい。


図表1.主な実装のステップ



図表2.ディープラーニングの概念図



0.フレームワークの入手

 1を始めるまえに、実際にRを用意し、Kerasをダウンロードして、インストールするなどの準備が必要である。

1.データの用意

 トレーニングデータのラベル、ラベルに関連するデータ、評価データのラベル、ラベルに関連するデータを準備する。

2.モデルの設定とコンパイル

 どのようなネットワークにするかを、ここで指定する。またコンパイルの部分で「損失関数」(予測結果と実際の結果の違いを評価したもの)の指定や、損失からどのようにネットワークの重みを更新するか(「最適化器」)なども指定する。

 ネットワークの設定では、隠れ層における「ノードの数」の指定、そしてreluなどの「活性化関数」の指定、層をいくつにするかの指定、dropoutを行うかということなどを指定する。

 また、コンパイルの部分では「損失関数」や「最適化器」の指定を行う。これらは、学習で用いられる細かい設定である。学習というのは、図表2にもあるように予測した結果と実際の結果とのずれを損失関数で計算し、最適化器で適切にネットワークの重み(パラメータ)を更新していくことだ。例えば、「カテゴリカルデータのときは,cross-entropyなどを用いる」といったことを指定する。最適化器では、SDG(確率的勾配降下法)、RMSprop、adamなどが用意されており、これらを利用する。

3.学習

 学習では、ミニバッチ確率的勾配降下法(SGD)を用いる場合の細かい設定を行ったうえで、実際にデータを用いてネットワークの重みの推定を行う部分だ。具体的にはミニバッチ(学習する際のデータの一部を抜き出したデータ)や、エポックと呼ばれる繰り返しの回数などを指定する。詳細は次節でのべる。

4.評価

 評価では、(1)で用意したテストデータのラベルに関連するデータと、学習したモデルを用いて、実際にラベルを予測し、その結果がもとの結果をどの程度正確に予測できているかを評価する。

5.予測

 最後に、学習したデータを用いて、新しいデータが入力された場合に、どのようなラベルになるかなどの予測を行う。


 以上の五つが大きな流れである。これらに基づいて2節では具体的にRにおいてKerasを用いた実装について説明する。


次は「Kerasによるディープラーニングの実装」
【続きを読む】(有料会員向け先行公開)

※会員のご登録はこちらをご覧ください。

参照コンテンツ


【シリーズ】マーケティングのための人工知能入門およびその周辺技術


おすすめ新着記事

新着記事

2025.01.22

24年11月の「家計収入」は2ヶ月連続のプラスに

2025.01.22

24年11月の「消費支出」は7ヶ月ぶりのプラスに

2025.01.21

企業活動分析 株式会社サイゼリヤ 24年8月期は引き続きアジアがけん引し増収増益

2025.01.20

MNEXT 新たな成長戦略で日本再生へ―トランプ2.0を契機に転換

2025.01.17

消費者調査データ No.419 キャッシュレス決済(2025年1月版) 利用経験ついに5割超え 「PayPay」独走態勢なるか

2025.01.16

24年11月の「現金給与総額」は35ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2025.01.16

24年11月は「有効求人倍率」、「完全失業率」とも横ばい

2025.01.15

月例消費レポート 2024年12月号 消費は足踏み状態が続いている-国内外からの物価上昇圧力は消費にマイナスの恐れ

2025.01.14

企業活動分析 マンダムの24年3月期は2期連続の増収増益、女性事業が好調

2025.01.10

24年11月の「新設住宅着工戸数」は7ヶ月連続のマイナス

2025.01.09

24年12月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のマイナス

2025.01.08

企業活動分析 富士フイルムHDの24年3月期は増収増益、過去最高を更新

2024.12.27

24年11月の「ファーストフード売上高」は45ヶ月連続のプラスに

2024.12.27

24年11月の「ファミリーレストラン売上高」は33ヶ月連続プラス

2024.12.27

消費からみた景気指標 24年10月は4項目が改善

2024.12.26

提言論文 消費者が示すサービスブランドの価値実現率-価値伝達なしの生存はない

2024.12.25

24年11月の「全国百貨店売上高」はふたたびプラスに インバウンドや冬物衣料が好調

2024.12.25

24年11月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月ぶりのプラスに

2024.12.24

24年11月の「コンビニエンスストア売上高」は12ヶ月連続のプラスに

2024.12.23

MNEXT 価値と欲望の充当関係とは何か-市民社会の基本原理

週間アクセスランキング

1位 2025.01.20

MNEXT 新たな成長戦略で日本再生へ―トランプ2.0を契機に転換

2位 2025.01.15

月例消費レポート 2024年12月号 消費は足踏み状態が続いている-国内外からの物価上昇圧力は消費にマイナスの恐れ

3位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

4位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

5位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area