優秀な営業パーソンに高成績を上げる秘訣を聞くと、「私は当たり前のことをやっているだけですよ」と多くの人が答える。成績をみると、毎月コンスタントに売上があがり、期末に集中するようなことはない。逆に成績がよくない人は、忙しくしているのだが、売上はよくない。この差は何か?ヒントは「当たり前のこと」を考えることにある。
我々営業の当たり前のこととは、得意先との提案や商談時間を最大化し提案件数、商談件数を大きくし、受注数をあげることだ。まずは商談件数を増やすことが第一であり、その次に提案内容を充実させ、受注率を上げることだ。
今回は、商談件数を増やすためのアプローチとしてワークロード・メソッドという手法を提案したい。標準的な営業活動を事例にみてみたい。
(1)1ヶ月の商談時間はどれくらいあるか
1日8時間、月間20日とすると、我々の1ヶ月の活動時間は160時間となる。これを商談時間、移動・休憩時間、社内業務時間に分け、商談時間を決める。1日平均3時間とすると、60時間が商談時間となる。
(2)提案・商談件数はどれくらいできそうか
つぎに1回当たりの商談に必要な時間を決める。1回当たり30分とすると、1日に6件の商談が可能となり、1ヶ月にすると120件となる。当たり前のことをちゃんとやれば、理論的には月120回の提案や商談、得意先と話をする機会がある。
(3)得意先別の商談頻度を決める
自分の担当する得意先を重要度によってランクづけをし、商談頻度を決める。重要度は第8回で提案した拡販余地などを使って決定する。仮に、つぎのように設定したとしよう。
- Aランク:商談頻度は月4回(週1回)
- Bランク: 〃 月3回(10日に1回)
- Cランク: 〃 月1回
(4)実際に活動できるかどうかのシミュレーション
Aランク15件、Bランク15件、Cランク10件の得意先が存在しているとしよう。図表のとおり、月間115回の提案・商談機会があり、理論値とほぼ一致し、無理のない提案ができることがわかる。
図表.ワークロード・メソッドによる営業活動の見直し
当たり前のこととはこういうことだ。営業成果は活動量に比例するという原則を忘れてはならない。月115回ある提案・商談チャンスを確実に実行できれば、期末に売上が足らなくて困るようなことはなくなるはずだ。
「月115回も提案できるか?」という意見のある方は、第3回ショットガン営業のK君の活動事例を参考にしてほしい。
おすすめ新着記事
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 管理職は筋トレ率2倍! 20〜30代の美容・健康意識が市場をけん引
健康意識の高まりや筋トレブームなどを背景に、プロテイン関連市場が成長しており、高たんぱくをうたうお菓子や、レトルト食品なども目にするようになった。今回は、プロテイン食品をどのような人が利用しているのかについて調査した。
成長市場を探せ コロナも値上げも乗り越えて成長するドラッグストア(2025年)
ドラッグストアが伸びている。コロナ禍でも医薬品や消毒薬、マスク、日用品などが好調で成長を続けた。2014年から23年の10年間で、チェーンストアの販売額がほぼ横ばい、コンビニエンスストアでも約1.2倍なのに対して、同期間でのドラッグストアの売上高はほぼ1.7倍に達する。
消費者調査データ キャッシュレス決済 利用経験ついに5割超え 「PayPay」独走態勢なるか
成長著しいキャッシュレス決済サービスのブランドを調査。コード決済の雄、「PayPay」の強さが際立つ結果となった。全項目で首位を獲得したうえに、認知率はほぼ8割、経験率は5割をこえて6割に迫り、全体の半数に利用意向がみられる。