2021年のRTD(Ready to Drink:そのまますぐ飲める缶入りのチューハイやハイボールなどのアルコール飲料)市場は、前年比7%増の万2億7,451万ケースと14年連続で拡大を続けている(サントリー発表)。
今回は、当社が任意に選んだRTD24ブランドについて、「知っている(認知)」「3ヶ月以内に店頭などで見た(店頭接触)」「買って飲んだことがある(購入経験)」「最近3ヶ月以内に買って飲んだ(3ヶ月以内購入)」、さらに「今後(も)飲みたい(今後意向)」と「購入経験者における今後の購入意向(再購入意向)」という6項目について、インターネットモニターに対して行った調査結果をランキング形式でお届けする。
今回の調査では、「キリン 氷結(以下、氷結)」と「ほろよい(サントリー)」が熾烈な首位争いを繰り広げた。「氷結」は、認知、店頭接触、購入経験で首位を獲得した。一方の「ほろよい」は、3ヶ月以内購入、今後の購入意向で首位だ。しかし、両者の差は、店頭接触で2.6ポイント、購入経験で1.8ポイント、3ヶ月以内購入では0.3ポイント、購入意向では0.8ポイントと、きわめて僅差だ。前回(2022年2月版)調査では「氷結」が再購入意向以外の項目で「ほろよい」を抑えており、今回両者の競争はさらに激しさを増している。
上位2ブランドを追うのは、「贅沢搾り(アサヒビール)」や「檸檬堂(日本コカ・コーラ)」だ。店頭接触や購入経験では「氷結」や「ほろよい」に5ポイント以上の差をつけられているが、3ヶ月以内購入ではその差は2.4ポイント、購入意向でも2.7ポイントに縮めている。特に「贅沢搾り」は再購入意向で首位となっており、今後の伸びが期待されるブランドだ。
そのほかの再購入意向の上位ブランドは、2位に「ほろよい」、3位に同率で「サントリーこだわり酒場のレモンサワー(サントリー)」と「トップバリュのチューハイ/ハイボール(イオン)」、5位に「檸檬堂」という結果で、「氷結」は8位に終わった。
RTDは、伸び悩むアルコール飲料の中で、拡大を続ける数少ないカテゴリーのひとつだ。特に最大ボリュームであるレモン系RTD(レモンサワー)は対前年比117%と、伸びが加速している(サントリー発表)。メーカー各社は、レモンサワーだけでなくハードセルツァーなど新しいカテゴリー開拓による若者層の獲得とより一層の成長を目指している。2020年以降のRTD市場の急激な拡大は、コロナ禍による「家飲み」需要が追い風となってきた。行動制限が緩和され、ふたたび飲食店に顧客が戻り始めた今、激化する競争の行方が注目される。
- 注目ランキング
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- 3ヶ月以内購入
- ほろよい(サントリー) 12.8%
- キリン 氷結(キリン) 12.5%
- 贅沢搾り(アサヒビール) 10.1%
- 再購入意向
- 贅沢搾り(アサヒビール) 68.4%
- ほろよい(サントリー) 64.3%
- サントリーこだわり酒場のレモンサワー(サントリー) 63.6%
- 3ヶ月以内購入
詳細データのダウンロード
クロス集計表 サンプルイメージ調査概要
提示24ブランド
- 贅沢搾り(アサヒビール)
- アサヒ ザ・クラフト(アサヒビール)
- 樽ハイ倶楽部(アサヒビール)
- ハイボリー(アサヒビール)
- ウィルキンソンRTD(アサヒビール)
- キリン 氷結(キリン)
- 麒麟 発酵サワー(キリン)
- キリン 麹レモンサワー(キリン)
- キリン 本搾りチューハイ(キリン)
- 麒麟特製サワー(キリン)
- -196℃ ストロング・ゼロ(サントリー)
- クラフト-196℃(サントリー)
- ほろよい(サントリー)
- サントリー角ハイボール(サントリー)
- サントリーこだわり酒場のレモンサワー(サントリー)
- 濃いめのレモンサワー(サッポロビール)
- 檸檬堂(日本コカ・コーラ)
- トポチコ ハードセルツァー(日本コカ・コーラ)
- タカラcan チューハイ(宝酒造)
- ウメッシュ(チョーヤ梅酒)
- さらりとした梅酒(チョーヤ梅酒)
- トップバリュのチューハイ/ハイボール(イオン)
- セブンプレミアムのチューハイ/ハイボール(セブン&アイ)
- みなさまのお墨付きチューハイ/ハイボール(西友)
調査設計
調査手法:インターネットリサーチ調査期間:2023年01月27日(金)~02月06日(月)
調査対象者:当社インターネットモニター 20歳~69歳
全国の男女個人
有効回収サンプル数:1,086サンプル
サンプル構成(%)
参照コンテンツ
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