消費支出は足許で、実質ベースでマイナスが続き、基礎的支出が消費の足を引っ張る格好となっております。販売面でも回復の動きが一旦小休止するなど、これまで息の長い回復を続けてきた消費の足取りにもやや翳りが見えつつあります。ただ、雇用環境と収入環境は引き続き、回復傾向を保っております。消費マインドにも下げ止まりの気配が見られており、この先、消費マインドの回復も期待されます。2014年4月からの消費税増税をにらみ、消費の盤石さが試されるところとなりそうです。 公表されている経済指標を見ると、景気回復の勢いはスローダウン気味であり、需要の三本柱の回復の足並みも揃いません。在庫・生産調整は終了し生産拡大による再成長の局面を迎えますが、消費税増税に伴う駆け込み需要と反動減が撹乱要因として残ります。 今後の日本経済の見通しとして、2014年度は外需と消費の低迷・不振の下で設備投資頼みの回復が続くとみるシナリオが有力ですが、2015年度については有力シナリオを欠きコンセンサスは未だみえておりません。消費税増税がもたらす需要下押し圧力に抗し切れるか否かで、増税後の景気と消費に対する見方は分かれ、楽観・悲観いずれのシナリオが優勢となるかは日本経済の先行きに対する消費者のマインドの強弱に左右されそうです。 今号の概要は以下のとおりです。 「Economic Outlook for Japan-消費税増税に挑む景気と消費」では、前号が発刊された2013年10月以降の経済情勢を整理し、足許で回復の勢いがスローダウンしつつある日本の景気と消費の現状と今後を概観します。 「消費税増税後の消費を読む」では、強まりをみせる「トレーディング・ダウン」の動きが消費に及ぼす影響を評価するとともに、消費税増税後の景気と消費に関するシナリオを整理した上で、シナリオの成否に左右されずに消費税増税の悪影響を巧みに乗り越えるのに有効なマーケティング戦略を提案します。 「なぜ教育投資は増え続けているのか-教育支出を支える『子どもの将来への不安』と親心」では、節約姿勢の強まる中でもなかなか衰えをみせない教育投資の現状を概観するとともに、教育支出に対する積極姿勢の背後にある動機を明らかにします。 「世代区分の情報統計量を使った有効性の検証」では、世代の区分の長さや起点を統計的に探索する方法を概観した上で、価値意識項目を対象に最適な世代区分の探索を行い、特定された区分の有効性を考察・検討します。 2014年春、日本経済の底流で生起しつつある変化の予兆を捉えて、一歩先を見据えた戦略的判断と行動の一助となることを企図して、「消費経済レビュー」第23号を実務家のみなさまにお届けいたします。 (2014.03)
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