東日本大震災から2度目の夏を迎え、震災復興事業も本格化しております。 公表されている経済指標を見ると、消費を牽引役に内需の好調ぶりが光るなど、景気は堅調に推移しています。他方で、輸出は中国向けとEU向けで落ち込みが目立ち、外需には先行き不透明感が伴います。設備投資は回復を続けていますが、その勢いは鈍化気味です。震災復興特需や政策効果が切れた後には在庫・生産調整が進行する可能性が濃厚ですが、消費税増税をにらんだ駆け込み需要とその後の反動減次第では、そのペースも狂いそうな気配です。 日本経済の見通しとして、2012年度については、消費を中心に内需主導で回復するとのシナリオが主流ですが、2013年度以降については、景気の牽引役を何に託すかにより、景気の先行きに対するシナリオも各機関で各様に分かれております。 消費は2012年に入りようやく持ち直しの動きがみられ、スランプが長期化していた選択的支出で好調ぶりが目立つなど、明るい材料が見受けられます。雇用環境や収入環境の堅調ぶりや消費マインドの改善傾向も引き続き確認されていますが、2012年夏のボーナスのマイナスが今後の消費に及ぼす影響は、気がかりな材料のひとつです。 今号の概要は以下のとおりです。 「Economic Outlook for Japan」では、前号が発刊された2012年4月以降の経済情勢を整理し、内需主導で堅調な回復を見せながらも先行き下方リスクを孕みつつある日本経済の見通しと、今後の消費の読み方を提示します。 「消費者からみたソーシャルゲーム市場-今後の拡大可能性を占う」では、存在が広く知られるようになったソーシャルゲームについて、ヘビーユーザーの特徴を整理するとともに、今後の普及拡大の可能性を探りつつ、ユーザー維持・拡大の鍵としてソーシャルゲームのプレイの動機や目的に焦点をあてた分析・考察を行います。 「顔面温度の感情測定指標としての有効性の検証」では、環境を統制した実験室実験の下で、購入検討場面での消費者の顔面温度を測定し、購入決定プロセスと顔面温度の関連性を明らかにし、感情と顔面温度の関連性の検証を行うことなどにより、消費者の言語報告によらない感情測定指標としての顔面温度の有効性を考察します。 2012年盛夏の候、日本経済の底流で生起しつつある変化の予兆を捉えて、一歩先を見据えた戦略的判断と行動の一助となることを企図して、「消費経済レビュー」第19号を実務家のみなさまにお届けいたします。
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