アシックスの背景についてご案内します。2001年の売上は1,289億円でした。それが、2012年2,600億円です。この11年で2倍にまで拡大しています。この間、おそらくこんなに成長した企業はあまりないでしょう。なぜそうなったのか。ひとつは、ランニングシューズです。国内だけの売上でいうと、ちょうど遡ってデータを確認できた2004年時点では、国内のランニングシューズ売上は300億円です。それが2012年には529億円ということで、200億円ぐらい一気に拡大しています。本当に急成長した会社です。
余談ですが、アシックスの海外売上比率は70パーセントです。国内よりも海外で売れています。アンケート結果でみていくと、アメリカ人や外国人は、アシックスはアメリカの会社だと思っている人が多いらしいです。
では、なぜ急成長したかというと、最初は、もともとアシックスは靴をベースにしている会社でしたが、途中から総合スポーツ企業を目指していこうということで、野球のグローブなど、いろいろなことをやっていました。コンセプトとしては、「スポーツ、健康、快適ライフを創造する」ということで、そこで世界ナンバーワン企業になっていくということです。ですので、競合相手は、ナイキやアディダスを競合相手だというふうに位置づけました。そうしてコアであったシューズというところから、総合化していこうということで、「脱シューズ」を進めてきました。しかも、スポーツウエアなどアパレルも強化していったのが、2009年ごろまでです。
こうして総合化によって売上を伸ばしていたアシックスですが、実はこの2009年に大きな転機がありました。売上が初めて減少しました。その時には既に、現在の尾山基(おやま・もとい)社長が2008年に就任しているのですが、そこで方向転換します。もう一回自分たちの強みである、シューズを再強化していこうということで、すべての資源を集中させていきます。
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